声が聞こえる…これは、泣き声だ。呻き声に似た嗚咽。
イタカッタ
痛かったね
クルシカッタ
苦しかったね
ツラカッタ
辛かったね
カナシカッタ
悲しかったね
ぼんやりと溶けそうな脳に浸透する声と感情。この声の主が一体、どこが痛いのか苦しいのか辛いのか悲しいかなんて、全く知らない。
最後に消え入りそうな小さな声で何か呟いたみたいだったが、聞き取れなかった。尋ね返しても…もう泣き声しか返ってこなかった。
薄っすらと映るのは見覚えのある白い天井では無く、真紅の天蓋。どこだよ…ここ。
悪態付くと、だんだん覚醒する意識。瞬きを繰り返し起き上がろうと、体を起こした瞬間、
「ここは「気が付きましたか〜?」
「うぉあッ!?」
真横から突然、能天気な声がダイレクトに聞こえて驚き再び、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。
サラサラとした重たいカーテンみたいな銀髪。ペガサスしかいない。何でこの人が私の真横に…。
「な…ん、で…ペガサスが…?」
「覚えてませんか?ユーは私の話の途中で倒れたのデース」
「え、嘘」
「Yes。Ms.千年は煩いので縛って置いて来ました」「はぁ、お騒がせした様で、縛って…え!?ちょ、縛ったて、えぇ!?」
驚いて聞き返す私にペガサスは頷き、右から左に流す如くにペガサス氏とんでもない問題発言をした。
あのお姉さんを縛って放置するなんて…何と命知らずな…!!
「まぁ、ジョークはこの辺にしておきまショーウ!」
「あんたから、吹っ掛けて来たんじゃないですか」
慌てふためく私にお構いなしにペガサスはこの話題を強制終了させた。
何て奴だ。そしてここはどこだと目配せすると、
「ココは何を隠そう、私の寝室デース!秘蔵アイテムとかも一杯デース!二人きりでお年頃の紫乃ガールには興奮要素満載デスが、狼になって私を襲わないでくだサーイね」
「大丈夫。興奮のこの字もねぇよ」道理で、視界が全部真っ赤だと思ったよ!悪趣味だ!
茶目っ気たっぷりにウインクするこの外人にいい加減血管がブチギレそうだ…。
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