「僕のターン。手札から『精気を吸う骨の塔』を召喚」


精気を吸う骨の塔
[DEF/1500　ATK/400]


「これで君は『精気を吸う骨の塔』に戦闘では手出し出来なくなりました」


よく、切り込み隊長をフィールドに2体揃えてしまう私だが、成る程。とても厄介だと思う。竜崎君も大変だったんだろうなぁ。


「そして永続トラップ『夜族の宴』を発動。1ターンに一度、僕の墓地に埋葬されているレベル4以下のアンデットを1体、特殊召喚します。蘇りなさい。『ヴァンパイア･ベビー』よ！」


ヴァンパイア･ベビー
[ATK/700　DEF/1000]


「！」


「そして僕の場にアンデットが特殊召喚された事により、『精気を吸う骨の塔』のモンスター効果発動。デッキの一番上から、カードを4枚墓地へ」


「く…」


これではモンスターを破壊しても毎ターン、聖さんはアンデットを特殊召喚し、私のデッキは確実に蝕まれていく。


「これで、僕はターンを終了します」





「私のターン」


精気を吸う骨の塔には手が出せない。例え、マジックか、トラップで精気を吸う骨の塔を1体破壊する事に成功したとしても。
永続トラップの夜族の宴がある限り、聖さんのスタンバイフェイズに特殊召喚されてしまう。なら、


「『D.D.アサイラント』を守備表示に変更し、ターンエンド！」


D.D.アサイラント
[ATK/1700　→　DEF/1600]





「手詰まりですか、僕のターン」


そう、君はもう敗北へと片足を突っ込んでいるのですよ。


「手札からマジックカード『死者への手向け』を発動！このカードは手札を1枚コストにし、フィールド上のモンスター1体を破壊する事が出来ます」


手札を1枚コストにモンスターを破壊！
マジックカードから伸びた無数の包帯がD.D.アサイラントを墓地へ引っ張り込んでしまった。
これで除外効果を持つ厄介なモンスターを取り除かれて早くも私を守るモンスターがいなくなった。


「2体の『精気を吸う骨の塔』を攻撃表示に変更し、バトルです。全モンスターで相手プレイヤーへダイレクトアタック！」


「く…ぅ…！」


最初にヴァンパイア･ベビーの切れ味が悪そうな爪で引っかかれた。それから、骨の塔がドン、ドンと鈍い音を立てて突撃してきた。
うあああ、ソリットビジョン恐怖症になりそうだ…！


紫乃　LP2000　→　LP500


「ターンエンド」





「私のターン。『斬首の美女』を守備表示で召喚！カードを1枚伏せ、ターン、エンド…」


斬首の美女
[DEF/600　ATK/1600]


まだだ。まだ、仕掛けるのは早い。





「またそのレディですか…」


召喚された斬首の美女を見て、聖さんは僅かに眉を顰め、ボソリと呟いた。


「『斬首の美女』が、何か？」


「思っていたんですが『斬首の美女』とはその名の通り、首を刎ねるのがお好きなレディの様です。大抵のアンデットは首を落とされたりすると再生が出来なくなる種類が多いんです。実は」


「首を刎ねたり、心臓に銀の杭を打ち込むなんて蛮行だと思いませんか」


「えっと、つまり…？」


一息で言われて少し戸惑った。聖さんってこんなに喋る人だっけ。


「僕はそのレディが嫌いな様です」


「いや、嫌いとか「僕のターン」


穏やかな表情で嫌いだと言われてどうすればいい。斬首の美女に別に特別な思い入れがある訳では無いが、こうはっきり言われるとなぁ。
困ったな。正直、どうしたいいのか。しかしこの会話は聖さんによってあっさりと終了した。


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