「ターンエンド。次のオレのターンで勝負は決まる…今の内にお喋りぬいぐるみとお別れでもするんだな」


ふふん！と鼻を鳴らし自分の勝利を確信している。確かに100ポイントしかライフは残っていないが、決め付けられるのは嫌だ。


「ふざけるな！絶対におばさんは渡さな≪おばさん…？≫お、お姉さん渡さない…ぞ」


背負っている鞄から、とてつももない怨念を放つぬいぐるみ。首筋から背筋に掛けて強い悪寒が駆け抜けていった。
怖くて後ろを振り向けずにガチガチと固まりながら訂正した。


「ぬいぐるみコントはいいから、さっさとドローしろよ」





「と…とにかく、ドローッ！」


逆転のキーカードが来る事を懇願しながらカードを引いた。
深呼吸をしてそのカードを見ると緑色のフレームが目に入った。お！強欲の壺。小さな希望が見えた。


「よし、『強欲な壺』発動！デッキから新たにカードを2枚ドローする！――ドロー！！」


「来た…！手札から『融合』発動！手札の融合素材『破壊神 ヴァサーゴ』と『メテオ･ドラゴン』を融合！」





手札から、融合召喚をする！！





「この期に及んで融合召喚だと！？」


まさか、このタイミングで起死回生のカードを引いたと言うのか！
キール君はぎょっと目を剥いた。信じられない？そんな事が起きるのはデュエルをする者にとっては当たり前の事じゃないか。
手札のヴァサーゴとメテオ･ドラゴンが交じり合い、新たなモンスターへと形を変えて行く。





「現れろ！『メテオ･ブラック･ドラゴン』！！」


メテオ･ブラック・ドラゴン
[ATK/3500　DEF/2000]


全身からマグマを噴出し、フィールドに舞い降りる巨大な竜。
キール君のフィールドはモンスターは攻撃力2500のマンモ･フォッシルだけ。


「更に通常召喚で『リトル･ウィンガード』を召喚！」


リトル･ウィンガード
[ATK/1400　DEF/1800]





「バトルだ！『メテオ･ブラック･ドラゴン』で『マンモ･フォッシル』を攻撃！」


メテオ･ブラック・ドラゴンが飛翔してマンモ･フォッシルに襲い掛かる。
上空から、炎を吐き逃げ惑うマンモ･フォッシルを破壊した。その衝撃でフィールド全体に少し煙が立ち込めた。


「ぐぁ…！」


オレのフィールドに身を守るトラップ･マジックカードは無い…！迂闊だったぜ…っ。


キール　LP2000　→　LP1000


煙が治まるとリトル･ウィンガードが剣を構えて指示を待っていた。
その様子を見てキール君は歯を食いしばった。ダイレクトアタックを受けるの覚悟をしているのだろう。





「これでラストだ！『リトル･ウィンガード』でプレイヤーにダイレクトアタック！」


「ぁぁああ！」


キール　LP1000　→　LP0


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