Black valkria




私が童実野町に来た理由、私がもう一人の遊戯君の失った記憶に関係している事、その他諸々。
今まで心の中に蓄積されていたそれらを吐き出すと、本当に心身共に軽くなった(体重計ったら3kg痩せていた。大丈夫か、私)。


問題はまだまだ山積みで、一つ一つ解決していくしかない。そして今の私にとって、一番解決しなければならない問題が、





バトルシップで遊戯君にあの…うん、そのつまり――額にキスされて以来、彼の顔がまともに見れない事とか。
もう一人の遊戯君の時は平気だ。でも、遊戯君に変わった途端に恥ずかしくて堪らなくなる。


現に遊戯君を避けて避けて避けている。なんて事だ。もう四日も遊戯君の顔をまともに見てないし、口も聞けてない。
いけないよこのままじゃ。でも、あれって、本当にどう言う意味だろう。


あの光景を思い出すだけで、朝っぱらから、脳みそ沸騰しそうだ。アンティでキスって…罰ゲーム的な要素かな、うん。
だって、私に好き好んでキスする要素は無い。無駄にでっかくて、−Aの胸の女に見えない女に、うんうん、そうだ。
あれは罰ゲームと言う事で、これで解決だ!





さぁ、これでもう遊戯君を変に気にして避ける必要は無いよね。





「あら、何が気にする必要無いって」


「何って、キスされて気まず………はっ!」


言い掛けて、振り返ると、フリルたっぷりのエプロンを装備した千年お姉さんがいた。
いつまでも、部屋から出てこない私を起こしに来てくれたらしい。ノックに全く気が付かなかった。


「誰かにキスされる夢でも見たの?うふふ、紫乃もお年頃だものね」


ほらほら、朝食が冷めちゃうわよ。


「いや、夢じゃ、モガーッ!?」


おっとっと!?
うっかり、開いてしまった口を慌てて塞ぐが、お姉さんは大きく目を見開いて、穴が空きそうなくらい私を見ていた。





「誰!一体、どこの誰と!お姉さんに詳しく教えてちょうだい!!」


「あ!えっと、うん。私学校に行って来ます!」


じゃあ、そう言う事で。あぁ、朝ごはんは帰ってきてから食べます。
恋のお話が大好きらしいお姉さんがジリジリと迫ってくる。掴まったら、最後洗い浚い吐かされる!
サブミッションの時の要領で私に掴み掛かるお姉さんをかわし、通学鞄と制服の上着を引っ掴んで家を飛び出した。


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