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天上院吹雪の秘密

天上院吹雪と秘密の続き

真っ白なおろしたてのシャツを着ている時ってさ、汚さないようにって気を付けるけど、どんなに気を付けていても、汚れちゃうよね。
そして一度汚してしまうと、その後、開き直って思いっきり汚すのってとっても気持ちいいよね。

きっかけは何だったかな。確か授業に使う教材が紛失して、誰が悪いとかそんな感じの話になって、そのばっちりを彼女が受けてしまったんだっけかな。
それまでは彼女とはそれなりに仲は良かったんだ。挨拶をしたり、他愛もない話をしたりするその他大勢いる可愛い子の一人。

『知らない、私じゃないの!』

どうして、誰も信じてくれないの。
蚊の鳴くような声で、俯いた横顔から除く表情に何故だから酷く胸を打たれた。
僕が今まで見たどんな女の子の笑顔よりも、どんな表情よりも彼女のそれは素敵で衝撃的だったから。

「皆には内緒だよ」

そう囁くと、彼女はいつも辛そうな表情を浮かべる。うん、そうだよ、僕は君のその顔が見たいんだ。
大勢の中の可愛い子の一人から、見つける事が出来た僕の唯一の女の子。
どうしてもっと早く気づけなかったんだろう。こんな素敵な顔をする子に。
一人ぼっちで、寂しくて、ぐちゃぐちゃに泣いている表情はあぁ、本当にとっても素敵だな。

ふふ、こんな事誰にも知られてはいけないなぁ。
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