If

おかしなこと

一体これはどういうことでしょうか
小首を傾げたのはだあれ。

 ぽわん。まさしくそんな表現がぴったりの何かを通り抜けた感覚を味わった。なにごとだ、とあたりを見回しても何も景色は変わっていない。
 ひとまず、体格のいい高校生らしき背中に特攻をしかけることにした。

 どーん。
「ッわ」

 なにすんだ、みーと怒鳴るごーくん。半分キレたような表情が般若に見えたけど、イケメンだった。結構整った顔立ちで、なるほどじゃにーずだねと返せば、意味わかんねぇよって。示された隣に腰を下ろし、操作してくれている二つの端末を覗きこむと、新しい連絡先が登録されていた。手際いいね、ごーくん。

「親父の代わりに機種二台分触ってんだよ」
「ごーくんのぱぱりん、機械苦手なんだねぇ」

 パソコンもいじれねぇよ、とどこか得意げなごーくん。それ、ちょっと危ない気もするぞ。最近のお店なら、ネットの宣伝も必要だろーし。

「いいじゃねぇか、口コミで」

 味は保証する。どや顔ってこういうことを言うんだろうな。ぷぷーと笑ってやれば、ごーくんから怒りの鉄槌が下された。ひどい。

「とりあえず、連絡先交換はできたし。本題だけど」
「本題?」
「おう。なんで日曜日来れなかったんだ?」

 そう言って、ごーくんが突きつけてきたのはお店のチラシ。アクセス方法と書かれた部分を見れば、本当に駅から一分とか迷いそうにない場所に星マークが付けられていた。

「おかしいなぁ…僕じゃなくておかーさんが調べても出てこなかったんだけど」

 駅前はもちろん、郊外も含めて検索していたのに。ググルさんの不備かな。経緯を簡単に話せば、ごーくんも不思議そうだった。聞いてみれば、ググルさんでもちゃんと表示されるらしい。え、じゃあ、おかーさんのパソコンが悪かったってことかな。

 二人してうーんと考え込んでも、結局専門家でもない僕らにわかるものがあるはずでもなかった。仕方ない、と膝をぽんと叩いて立ち上がるごーくん。

「今から案内するよ。そしたら、みーのお袋さん連れてこれんだろ」
「おお、ごーくん頭いいねッ」

 僕は、鼻歌を歌いながら、頭一つ分大きいごーくんの後ろを追った。

(This is true. )
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