次の日、俺は珍しく朝から登校し、三浦を待ち伏せていた。

玄関の脇のガラスに寄りかかり、校門を睨みつけながら立っていると、音楽を聴きながら登校する三浦を発見した。


俺はそのまま三浦へと近寄り声をかけようとしたとき、三浦が俺に気づいた。その瞬間、三浦の顔は青ざめ、慌てたように俺の腕をひき校舎裏へと向かった。

不可解な態度に首を傾げつつ、昨日の自分の行動を省みたのかと考えていた。

しかし、完全に2人きりになったとたん。

「あー疲れた。あっちい」


俺の腕を離し、だるそうに胸元をパタパタとさせるのだった。


「………は?」

「ほんとかわいーな真田って。なんで思った通りの行動してくれんのさ」

「………お前、反省したんじゃねえの」

「反省?なんで?ああ、さっきの?あれは演技だよ」

「演技?」

「そ。周りから見たら真田に脅されてる俺が真田に口止めをしようとしてるように映るんじゃない?多分」


こいつ。多分とか言ってるが確信を持って行動してやがる。「そううまくいくかよ」

「どうかな。てか俺に会いたくて早くきてくれたんでしょ?」

「その言い方やめろ」

「2人っきりだしさ、昨日の続きしようよ」


そのまま俺はこいつをはったおしてでも逃げられたのに、そうしなかった。こいつの笑顔に、つかまった、と思った。





「きもち?」

「っ、ふ」

「俺はきもちーよ。真田の手、好き」


三浦に近くの物置小屋に連れて行かれ、俺たちはいわゆるかきっこをしていた。


「真田、もうちょい強く」


従いたくないのに従ってしまう。
そのくせ三浦はゆるゆると決定的な刺激を与えてくれない。だからと言って三浦みたく強請るのはごめんだ。

仕方なく今ある快感だけで絶頂まで自身を導こうとする。


「真田、」


するとあろうことか三浦は俺の根元をきつく握りあげた。


「てめっ」

「俺の、ちゃんとして」


じゃないと離さない、という無言の圧力に負け再び手を動かし始める。


「うん、じょーず」


そう言いながら俺の亀頭部分を握りあげていない方の手でなで上げた。そのまま上下に繰り返されるものだから俺はもうイきたくてイきたくてしょうがなかった。


「っ、みうらぁ」


だから情けない言葉をあげてしまってもしょうがない。そんな三浦は三浦で、整った顔を快感で歪ませていた。

そして俺の顔をみて、ふ、と笑った。そのまま俺の肩に顎を乗せて。


「俺もイキそう。もうちょい頑張って。一緒にイこう」


どこのカップルだ、と思ったが俺はこくこくと頷くことしかできなかった。


そのまま少しして、俺たちは一緒に放った。いつの間にか三浦が取り出していたスポーツタオルで制服に飛び散るという悲惨な事態は免れたのだった。


「真田、」


呼ばれる声に無意識にそちらを向く。
そこには身支度を整え終えた三浦が立っていた。


「かわいかった」


にやりと笑ってここを出て行く。
いつもなら、怒鳴り散らしているところなのに、その日の俺はなぜかひとりで赤面するというありえないことになっていた。


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