その日も放課後に空いてる教室で真田に悪戯をしていた。
「っ、てめっ、これ、抜け」
「なんで?よさそうじゃない」
「っ、」
「物足りない?」
真田の中に入っている細長いバイブを出し入れしてやる。
そうきいたときの真田の目が悲しそうで、俺に伸ばされた手が途中で床に落ちた。
「三浦……っ」
出された声と精液は、なぜか冷たくて。
*
なぜ真田はあんな顔をしたんだろう。
自分から俺を求めておいてもう飽きたとか。いや、飽きる以前になにもしてないのだが。
なんて思考に耽りながら昼休みを過ごしていると。
「あっ!いた、三浦!」
「ん?」
声のした方を向くと、以前真田に絡んでいたがこちらに走ってきた。
「なに」
露骨に嫌な顔をしてやる。
しかし相手はそんなことを気にしない。
「真田が、手ぇつけらんなくて」
「は?」
「とにかく真田が暴れてんの!こいっ!いや、来てください」
そいつに連れられて向かった先は今は使われていない旧体育館だった。
「てめぇなに潰れてんだよ」
それは真田の声だった。
中に入ると、倒れている奴が大勢いて、立っている奴が数名。その中に血を浴びて立っている真田がいた。
足元にいた奴を蹴りながら楽しそうに顔を歪める。
「あいつ、急にここにきて片っ端からケンカ売り出したんだよ」
そうか、ここは不良の溜まり場か。
「とにかく手当たり次第で、狂ってるっつうか、わりぃな、お前呼んじまって」
「いや、助かるよ」
体育館の中へと足を踏み入れる。
「真田」
俺の声は届かない。
「真田、」
さらに近づいて声をかける。
それでも届かないなら、手を掴むしか。
「さな、」
振り向いた真田は、俺の手を振り払い、そして。
「うぜぇ」
そう言ってまた目の前の奴を殴ろうとする。
俺から離れようとするのか。
そんなこと、俺が許すと思うのか。
「真田、行くぞ」
「はあ?」
殴っていた真田の腕を掴み引き摺るようにして歩く。
もう俺の中には真田を壊すなんて恐怖はなかった。
こいつは壊れない。強い。
俺のほうが、よっぽど。