「んぅ、いった」

「痛い?もう少し我慢して」

「ああ、あっ」

「ほら、もう少しだから」

「〜〜〜っ、」

「はい、もうだいじょうぶ」


ニコッと微笑んでそう言う野郎に俺は。


「なんでもっと優しく治療できないんだよぼけっ」


ぶちきれた。





「だってまさかこんな見た目してしかも喧嘩までしてるのに痛いのがダメとかって………ねぇ」


最後のところだけニヤリと笑って言うこいつは完璧ドSだ。こんなドSなくせして白衣を着た保健室の先生なんてのんやってるんだから世も末だと思う。

しかも見た目も完璧。
身長が高いうえに顔が派手だ。
さらに俺を治療という体でいたぶるときはものすごくイイ顔をする。
女子生徒がこいつを陰で王子様だのと言っているが、めんたま抉ってやりたい。


「ほんと、ばかだよね、君って」


すっと右手を伸ばし俺の左頬についた傷をなでる。ピリッとした痛みが走るが、その優しい手つきにとろけそうになる。

目の前の男が楽しそうな顔をした。


「どうしたの、そんな顔をして」


どうしたのって、わかってるくせに。
やっぱりこいつはイジワルだ。


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