「ただいまぁ〜……はぁ………」
勝手知った我が家の玄関にどかっと座る
今シャワーを浴びたのかというくらい上から下までびしょびしょだ

靴下が湿って張り付いた感触が足先から伝わってきて気持ち悪い。頭からはポタポタと雫が落ちて玄関に斑点が出来ていく

「おかえり、名前」
「ぅわっ!ただいま……て、カヲルまだ起きてたの?」
「……名前が帰るのを待ってたんだよ…それより、何でそんなにびしょ濡れなんだい?」
「は?何でもなにも土砂降りだったからだよ。カヲル雨降ってるの知らないの?」
「知ってるよ。夕方から降り始めたよね。」
「知ってるならわざわざ聞かないでよ〜…」

ずぶ濡れで気持ちが悪く、イライラしているあたしはカヲルの的を射ない質問に苛立ったトーンでかえしてしまう
靴下を脱ぎ終え立ち上がるとすぐ横にいたカヲルと眼があった

…………やばい……なんか怒って…る?

明らかにいつもと違うそれ


「ねぇ、名前」

「んあ?!はい?」
突然呼ばれたので間抜けな声が出てしまった
「僕、朝言ったよね?今日、降水確率午後から100%だよって。だから傘持ってった方がいいよ。って」
「そういえば…そんな事言ってた、ね」
「わざわざ言ってあげたのに、僕の話し聞いてなかったんだね」
「いや、時間なくて慌ててて…聞いてはいたよ?」
「ふ〜ん……」
明らかに含みのある言い方……

「あと、こんな遅くまでどこ行ってたの?」
「あれ、言わなかったっけ?友達とご飯食べに行くっ「聞いてない」
言い終わる前にカヲルのキツい声によって遮られる。
「友達って男?」
「へ?あ〜男子もいたしもちろん女子もいたよ?!」
「……で、1人で帰ってきたの?」
「や、友達に駅まで送ってもらったけど…」
「男?」
「そうだけ、ど」
「へぇ〜………」
カヲルの顔はほぼ無表情だが、赫い眼がものを言っている
何なんだこの質問攻めは
大体こういう時のカヲルと話すとろくな事がない。
めんどくさい事になる前に離れよう。
話はまだ終わってないがずぶ濡れだしそそくさとお風呂場に向かって歩き出そうとすると後ろから腕を掴まれ引き寄せられる

「まだ話は終わってないよ名前」
「っ!ちょっ?!離してよ!濡れるよっ?」
「離さない。どうやらお仕置きが必要みたいだからね」
「えっ、は?お仕置き?!何で?!」
「僕が言った事を全然守らないし、警戒もせずにこんな遅くまで他の男と遊んだり…あげくそんな格好で出歩くなんて…」

カヲルが眼だけで上から下まで見る
雨で濡れたせいで今のあたしはシャツはスケスケ、ズボンは身体に張り付いて若干下着のラインが浮いている。といったかなり恥ずかしい状態だ。

どんどんカヲルが近づいてくる。ち、ちかい……息が頬にかかる。







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