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*サッカー無関係(なんか音楽やってるし)
*視点がページごと替わります
*4ページ(話がまだまだ終わりません。続きます)
前回の続きとなります


(有里)


胸にグッと残るような素晴らしい演奏をしてみせた達海は、その後ぱったり店に来なくなった。あの演奏を会場で聴いて感動して、だから達海に最高だったよ!って次に会った時、言うつもりでいたのに。翌日から毎日、お父さんのお店に駆け込んでは達海来た?と尋ねるけれどお父さんはいつも首を振った。


「達海なんで来なくなっちゃったんだろ?」


達海専用になっていたピアノは最後に彼が弾いて以来、使用されることはなかった。それと同時期、達海目当てで来ていたお客も途絶えてしまった。

「忙しいんだろ、アイツも」


お父さんの素っ気ない態度に苛立ちながら私はずっと彼が再びこの店を訪れることを期待して待っていたのに、彼が戻ってくることはなかった。





あれから、10年。私はある会社に入社した。音楽関係の企画を担う仕事。音楽に関わろうと思ったのはきっと、ピアノを楽しそうに弾く彼の影響が強いんだと思っている。だけれど突然いなくなった彼に素直になることが嫌だったのかもしれない。だから、久々に達海猛の名を聞いたときは同姓同名の他人を指しているのだと思い込んだ。




「後藤さん、これ」
「ああ、懐かしいね。この曲ね、達海が好きだったんだよ。だからあのリサイタルに選曲したんだよなぁ」

昼食を供にしながら、耳に入った聞き覚えのある曲に後藤さんの顔を窺うと、やはり彼も気がついたようで。笑顔を浮かべた。
仕事場でたまたま一緒に働いている後藤さんは、達海さんの演奏会を担った人であることを入社後に知った。世の中狭いなぁなんて漏らした私に後藤さんも苦笑いをしていた。それから、少しだけ達海さんのことを聞いた。達海さんが事故にあったこと。友人であった後藤さんにさえ行方も告げずに消えてしまったこと。達海さんはやっぱりよくわからない人だった。
だけれど、私の中ではやはり魔法使いのようで。こども染みた発想だってわかってる。10年前と全く変わらない想いだってことも。

もう一度、彼の魔法をみてみたかった。


―――――


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