プロローグ

春、桜舞う季節に私は目の前にある巨大な建物を見上げ、思わず息を呑んだ。

その建物とは、名門私立聖帝学園。
通称「聖帝」と呼ばれる聖帝学園は、幼稚舎から大学までの一貫教育で、ミッション系のブルジョア校ながら都内でも指折りの秀才が集まる優秀な進学校としても有名な学校だ。

その聖帝学園に今日から私は養護教諭として赴任する。
高校生の頃から憧れていた『保健室の先生』……。
念願叶って養護教諭の資格を取ることが出来、加えて短大を卒業したばかりの私がまさかこんな名門校で働くことが出来るなんて最初は信じられなかった。
実習先の小学校では生徒達もよく懐いてくれていたけど、高校生相手だとそうも行かないだろうと思い、少し緊張する。
けれど……



(今日から私はこの学校の先生なんだ)



そうだ。これは他でもない自分の力で勝ち得た仕事なんだ。自信を持って頑張らなくちゃ。憧れていたあの先生のようになるためにも…。

私は、期待と不安を抱きつつ校舎へと足を踏み入れた。






bkm
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