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ピピッと電子音が鳴り表示画面には37.3と表示された。しんどい…絶対昨日の点滴のせいだ。薬の副作用のせいで熱が出るのだが最近は病院に行った次の日には熱は出なくなっていたのだ。はぁとため息を吐けば携帯を取り出し連絡を……誰に連絡するんだよ
哉太と一緒に学園に戻ってきたあの後、かず君が何処に行ったのかわかなかった。探しては見たものの居なかった。早く会って謝りたいのに… 誉達に聞いてもよかったけれどそしたら何があったのか聞かれる、つまり私の病気のことも話さなくてはならないので言わなかった。
「あぁもう、やっぱり行こう」
悩んだ末の結果がこれだった。 重たい体を動かし制服に着替える、周りに気付かれなきゃ大丈夫。それに今日中に謝りたい。ふらふらしながだが学校に向かった。朝のHRには出ずに、1時限目の選択科目の授業がある教室に向かった。かず君とは選択が違うから会えなかった、しかし授業中熱のせいで何も入らない頭がぼーっとして授業が全くわからなかった。
「(しんどい…だるい…)」
ドンッ
前を見ていなかったので誰かとぶつかり、尻餅をついた。
「ごめんなさい……颯斗」
「高見先輩こそ大丈夫ですか!?」
腕を引っ張ってもらい立ち上がる。
「先輩、熱があるじゃないですか!!!」
「しーっ、内緒にして」
ありゃーバレたか。 誰にも気付かれなかったのになぁ…。
「今すぐ保健室に「嫌よ、行かない」でも…」
「お願いだから誰にも言わないで」
颯斗は困った顔をしたがわかりました、ならちょっと来てください。腕を引っ張られて颯斗の後ろについて行った。
「誰にも言いませんが、次の時間はここで休んでてください。」
「ここ生徒会室だよ」
「えぇ、ここならまだ誰も来ませんし」
「でも」
「なら保健室に行ってもらいますよ?」
颯斗は笑顔で言う、いつもの黒いオーラを纏った。逆らえずにわかった…と渋々返事をして生徒会室のソファーに寝転ぶ。何かあったら連絡ください、すぐに来るんでと私にブラウンケットを渡し生徒会室を出て行った。
チャイムが聞こえる、すると廊下からした声もしなくなり静かになる。 こんなはずじゃなかったのに…やっぱり休めばよかったなんて思いながら瞼を閉じた。
*
次の授業の為に廊下を歩いていたら先輩とぶつかった。尻餅をついた先輩を立ち上がらせる為に腕を引っ張る。先輩の腕に触れたとき熱かった。顔を見るといつもより赤かった、
「先輩、熱があるじゃないですか!!」
「しーっ、内緒にして」
つまり先輩は無理して来たわけですね。早く保健室に連れて行かないと、悪化してしまう。 先輩に保健室にと言ったが嫌だと拒否された。 このままでは良くない、先輩は誰にも知られたくないようなので僕は先輩を生徒会室に連れてきた。
ここなら誰もこない、今日は昼休みには特に何もないので放課後までならここに居ても問題ない。ただ先輩が誰にも知られたくないと言う理由がわからなかった。 ブラウンケットを渡して僕は教室に戻って行った。本当はここに居たかったが授業を受けないわけにはいかないので 「何かあったら連絡ください」
「ん、」
短い返事を聞けば急いで教室に戻った。 先輩は大丈夫なのだろうか、具合は悪化していないだろうか。頭の中は先輩のことで一杯になった、先生が話している内容は右から入って左に流れて行った。 終了の合図と同時に教室を飛び出した、犬飼君が何か言っていたが無視して
「先輩、具合はどうで……」 規則正しい呼吸の音がする、寝ているが表情が険しい 汗で頬にくっついた髪を払い額に濡れたハンカチを置くとさっきの険しい表情が緩んだ、隣にスポーツドリンクのペットボトルを置く 教室を飛び出してから自動販売機で買ってきたのだ
「無防備な先輩ですね」
起きる気配のない先輩の顔に近づく、
「(ほんと、綺麗な顔だ。 元気なときのほうがもっと綺麗だ)」
ずっと見てても飽きない、先輩を自分のにしたい。 好きなんです、先輩が 貴女はいつ気付いてくれますか?? 僕の気持ちに
「………ご……め…」
「??」
「…か…ず君……ごめん……ね…」
寝言だ、先輩の だが先輩の口から出た言葉は会長への言葉で これが何を意味しているのはわからない。 ただ先輩の中には会長の存在がとても大きいということがわかる。普通の日常でも見ててわかる…… 胸が痛い
ただの寝言されど寝言
(先輩には僕の気持ちは届かないのかもしれない) (こんなに好きなのに) (どうしたら僕の事で一杯になりますか?)
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