駅のトイレで下着とストッキングを直し、学園に着くと校長の所へ急いだ。


「おはようございます。今日からお世話になります」

「寺内先生、早いですね。まぁ座って下さい」


勧められた革張りのソファに浅く腰掛け、校長に微笑んだ。
40半ばと言ったところか、初めて会ったとき落ち着いた雰囲気ではあるが古い学園の校長にしては若いなと思った。

勝手におじいさんを想像していたせいだと思う。


「率直に言います。あなたに来ていただいたのはこの学校に新しい風を入れたかったんです。ここに女性はいません。未だに男尊女卑の傾向にあります。名門と言われていますが、時代についていけない古臭いところです」


校長は自嘲気味に話した。


「共学どころか女の先生を入れる事すら反対される始末ですよ。まぁ校長の権限で無理矢理あなたを引っ張り込んだわけですが」


いたずらっぽく笑う校長につられて私も笑ってしまった。


「すみません。でも、私には有り難いお話です。こんな素敵な学校で夢だった先生ができるなんて。私、がんばります」

「気楽にやって下さい。反対派もそのうち慣れますよ。最初は注目されるかもしれませんがね」


大したことないと言う口ぶりだったが、年度始めに来た女の先生はもう辞めてしまったらしい。そこで補充という形で今回の中途採用となったわけだ。

雑談交じりに学園の事を聞きいていると、校長室のドアがノックされた。


「どうぞ」

「失礼します」

「あぁ、君か。紹介しておきます。高等部の生徒会長を務めている芹沢優也くんです」


入ってきたのは紛れもなく、今朝の痴漢だった。






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