突然、家に包帯まみれの人が入ってきたかと思えば……襲いかかってきた。
夕飯の支度をしていて、湯気と味噌の匂いのする中で。
「きゃ……何……!?」
あたしの手を引き手繰り寄せると着物の襟に手をかけて一気に左右へ肌蹴させる。
胸に空気の流れを感じて一気に非常事態だと焦った。
あたし、この人に姦されてしまうんだ……そう気付いた。
血の気が引くのと一緒に怖さを叫ぶ。声を出すことで少しでも恐怖を紛らわせたかったんだと思う。
「い、いやぁぁああっ!」
叫ぶあたしを床に押さえ付けた。手首でもなく肩でもなく乳房を握るみたい乱暴に。
恥ずかしながら、その状況にあたしは少なからず興奮を覚えてしまった。
見ず知らずの男に体をまさぐられる、異常な状況が本能をくすぐる。
包帯男は尋常じゃないくらい息を切らして犬のようにもよだれを垂らしている。
覗く方目は血走って、まるで獣そのものだった。
「ハアッ……ハー……ハー……」
言葉も忘れてしまったみたいに喘いであたしの脚を抱え上げた。
一気にねじ込まれて痛みと快感に悲鳴を響かせた。
「いや……!やめて、お願い……」
「あぁ……っ、はぁ……、すまない……すぐ、終わるから、堪えて……」
その瞳孔が開くのが見えた。
意外とあたしは冷静なのかもしれない。
あたしを姦しているのに、彼のほうが辛そうな顔をしていると思った。
苦しそうに唸りながら抱く様子が、心は人間のまま体だけが獣になってしまった生き物みたいで……
涙が出た。
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