うちの学校は小学校から大学まで同じ敷地内にある。だからいつかは顔を合わせるだろうとは思ってた。
4年ぶりって方が不思議なくらいだ。
学校の近くのカフェでバイトをしている所にお客としてやってきた。
「ご注文は?」
「じゃあ、小夜のオススメを下さい」
4年ぶりなのにいきなり名前を呼ぶなんて、ずるい。
付き合ってた時の事、嫌でも思い出しちゃうじゃない。
「先生、変わりましたね」
「小夜は相変わらずですね」
「成長してないって事ですか?」
「いや……やっぱり可愛いなって。今は彼氏、何人いるんですか?」
う……
何人って……普通、いるかいないかを聞かない?まぁ実際二股中だからそう言われても仕方ないけど。
「2人……先生は?」
「ひとりだけいます。やっぱり、相変わらずなんですね」
ククッとバカにしたように笑って頬杖をついた。あたしの方が目線は上からなのに、見下されてるような気持ちになる。
先生が変わったのはその彼女のせい?
それなりに小綺麗な格好なのは彼女のお見立て?
きっと素敵な人なんだろう。あたしには関係ないけど。
「カフェラテでいいですか?」
「うん。その制服、似合ってますね」
「先生もその服、素敵ですよ」
お世辞じゃない。センスのいいネクタイにきれいな色のカーディガン。眼鏡のフレームも4年前とは違っていた。
このカフェの制服はソムリエをイメージして白のブラウスに黒いタイ。同じく黒のタイトスカートは少し短めで。
正直、このスカートは気に入ってる。控え目な5センチのヒールでも脚がきれいに見えて好き。後ろに入ったスリットもお気に入りだった。
自分でもなかなか似合ってるんじゃないかって思ってたから、褒めてもらえて嬉しい。
今付き合ってる人も褒めてくれたけど、彼らはあたしが着る物すべてを褒めてくる。
褒めてさえいれば喜ぶと思っているんだろう。
そうなってくると、それはもう何も褒めてくれないのと同じなんだと感じる。
- 59 -☆しおりを挟む☆
≪back