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あたしはさっさと服を着てホテルの部屋を出た。この時ほど照星さんがシティホテルを取ってくれる人でよかったと思った事はない。

ファッションホテルだったらドアが開かない所だった。それはかっこ悪すぎる。


照星さんにとっては単純にセックスパートナーだったのかな……いわゆるセフレってヤツ?

ひとりで舞い上がってた自分が馬鹿みたい。ひどいよ、照星さん……


ポロポロと後から後から溢れてくる涙を家のシャワーで流す。可哀想な自分の体をキュッと抱き締めて慰めた。

どんな人と寝たんだろう……
内腿にキスマークを残すような人だ。きっとあたしより上手で積極的で……

あたしなんてつまらない女だと思ったかなぁ。あぁダメだ。こんなに泣いちゃ明日、目が腫れる。


「照星さん……」


寂しい。

今夜、すごく楽しみにしてたのにな。ホテルで食事してベッドを共にするだけでも立派なデートだと思ってた。

風俗代わり、だったのかな……


「ばかぁ……」


悔しいのに、最低な男だと思うのに、愛しくてたまらない気持ちは少しも消えてはくれない。
中途半端に終わったセックスの帳尻合わせにあたしは自分でそこにシャワーを当てた。


「はぁ……っ!あ、あん……あ……照星さぁん……」


片足をバスタブの縁に乗せて、強めに出したお湯をいい所にあてがうと彼を思い浮かべた。

空いてる左手で胸に触れて、優しかった指先や舌を思い出してはまた大粒の涙が溢れてくる。


「ううっ……ぐす……照星さ……ああっ!」


達すると余計に虚しさが込み上げてきて、子どもみたいに声を上げて泣いた。
自分でも驚くくらい、あたしの胸の中は照星さんでいっぱいだった事に今さら気付いたのだった。



『新着メール 3件』


そんな何でもない文字に心臓が跳ねる。服も着ないで携帯を開いた。

ひとつはメルマガ。ひとつは友人の愚痴。ひとつは母から……










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