さよならはこれで最後にしよう。そう思って書き始めた文字の羅列は思ったようにはいかなかった。思い出を文字にするのはとことん骨が折れた。そのうち考えるのをやめて、どうにでもなれなどという曖昧な気持ちでいると、いつの間にかペンは紙の端まで来ていた。もはや書くことも書く場所もなくなっていた。
この文字は震えてはいやしないだろうか。この文字に、水が滲んではいないだろうか。
と言ってはみるが、どんな形になったにせよ私は、便箋を変えるつもりなど毛頭なかったのだ。
筆跡に愛してるを残す

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