残された者が感じたのは、無念だった。あの二人は、お互いを愛していた。番などという言葉では足りない、二人でやっと一つになれたような存在だった。彼が死んでしまった彼女に向けられた目は、同情だったかもしれない。しかし彼女は折れてはいなかった。ただ、先立った彼を思い、己が死を遂げるまで彼の意思を継ごうと決意したのだ。彼女の最後を見た者はこう言っていた。
彼女は今までずっと幸せでしたよ。誰よりも、何よりもずっと。
二人は、二人いてやっと一つになったようなものだった。周りはそう思っていた。彼女はどうだったか、今ではもうわからないが。

始終、空だけが知っていた

<< | next

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -