友人と遊び、いつもの帰路。
何の変哲もない一日の夕方。

……だと思ってたけど、心なしか今日はいつもより暗い。
そういえば今日は夜から雨だっけ。いやそんなことはない。今日は一日晴れの予報。
にわか雨でも当たったらやだから近道使うか。

人通りがなく危ないこともあって、たまにしか通らないその道を小走りした。


すこし歩いたところでふと不安になった。
あれ?道間違えたかな。そんなはずないと思うけど。

辺りを確かめる。
見慣れない景色。

……え?何これ?

単純に道を間違えたにしては違和感があった。
暗い空以外が未知の景色だった。

手がかりを探そうときょろきょろしていると、後ろから声がした。

「りな。」
「えっ!?あっ……はい!」

咄嗟に振り返ると、不思議な服を着た女性がいた。
普通の人とは違う気がした。そこに姿があり立っているはずなのに気配を感じないというか……幽霊とはまた違うと思うけど。
よく見ると耳の形が特徴的で、普通の人より大きかった。

「あっあの……あなたは?」

聞いてもいいのかわからないけど、正直に疑問をぶつけた。



「あなたの母よ。」
「え!?」



お……おおおおおお母さん!?


「驚くのも無理ないけど…本当よ。」
「お母さん……ここはどこ?……ですか」
「ここは……あなたが住んでいた世界とは別の世界。この世界にある邪悪な杖の封印が解けてしまって、異世界との道が通じてしまったの……異世界に被害が出ないように私がさっき閉じたわ。」
「………。」

説明口調でとんでもないことを言われた。というか、よくわからない。
お母さん?異世界?
ついていけないまま女性がまた言った。

「あなたなら出来るわ。りな、杖を封印して。」
「えっ?」

大丈夫。
そう言って女性……お母さんは私に暖かい光を与えた。
言葉通り、手のひらに乗せた光を私に託した。

その光が広がり私を包み、やがて消えた。


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