「あ、そうだ、りなちゃん……」
「りなでいいよ」
「わかった。じゃあ僕もエイトね」
「よろしく!」

エイトさん……エイトとそんなやりとりしながら、エイトの主のトロデ王とミーティア姫と共に宿を後にした。
2人はさっきのエイトの話で聞いたとおり呪いで変えられた姿だ。
王様のことは化け物ってヤンガスが言ってたから一体どんなだろうと思ってたけど案外お茶目な感じ。姫は綺麗な馬だった。


あ……忘れてた。
貰ったお守りのことをふと思い出す。装備しなくちゃ。
精神を守ってくれるって言ってたし、なんだか心強い。



「そう言えば、りなは、ポルトリンクへ行くまで1人で戦って来たの?素手?」
「素手!?それは聞いてなかったげすよ」
「流石にそれは!戦ったのはヤリ持ってからだから!」

ゼシカたちからそんなことを言われて焦って否定する。
あのときは逃げるので精一杯だったしね。

「でもりなすごいね。魔法を使えないハンデがないね」
「力にしか自信ないけどね!あ、ゼシカ。敵が出たら魔法見せてね。」
「えぇ。見せてあげ……あら、ちょうどいいじゃない!」

目の前に現れたのはベルの魔物と黄色い巨体。ドラゴンなのかな?少し強そう。

「リンリンとでんでん竜か」

リンリンとデンデン。パンダの名前みたい。
ヤリを構えて対峙した。


「ヒャド!」

ゼシカが呪文のようなものを呟いて(実際に呪文なんだろうけど)叫ぶと角ばった氷の塊がデンデンを突き刺した。
何今の!

私も力任せのヤリでリンリンをなぎはらって、倒し損ねたのをヤンガスがオノで仕留めた。

デンデンの方はゼシカとエイトで倒したみたいだ。
ふう、と一息ついて振り向いたゼシカに言う。

「ゼシカの呪文すごかった!」
「ありがと。りなもね?女の子とは思えないくらい。私の呪文なんてまだまだよ。」
「そんなことないよ」

魔法を使うところを見たのは当たり前だけど初めて。
感動と興奮でいっぱい。


「ホイミ」
「エイト、今の呪文は?」
「回復呪文だよ。傷を回復する。」

エイトが自分の腕に手をかざすとさっきでんでん竜に火を吹かれたところの痕が消えた。

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