【351-360】
手弱女の手に小太刀
益荒男の手に梅の枝
パラドックスの撞着(矛盾に重なる矛盾は果たして真理と云えるのか否か)
自分の人生だからと言って、自分が主役とは限らない
曖昧ローリングスター
涙淵に沈下す
生きているという実感をひたすらに求めていた(皮肉にも、それが得られたのは死ぬ時だったけれど)
お前の言う使命等は巨大な運命のほんの一部に過ぎないのだ
崩るればはや玉山とは言ひ難し
最果ての地より、大嫌いなあなたへ(これが最後の伝言です)
【361-370】
真っ黒いアスファルトを頼りなく照らす街灯の向こうに見えた影は僕自身だった
とある少年と少女の場合
この身を海神に捧げましょう(貴方がそれを望むなら)
エスプリに富んでいるとは到底云えぬ
失った愛に何時までも縋っていたオルフェウスは肢体を引き裂かれてしまいました
雲居の空に天つ乙女のたゆたふにや
当時置き去りにした慕情の行方(今となっては知る術も無い)
あなたと つないだ てを
天を仰ぐマアト(父親の輝きが恋しいのかしら)
もう何もかも手遅れ、だ
【371-380】
虫も殺せない愚かなアサシン
心地良く鼓膜を震わせるのは君のすすり泣く声と、
後少し、繋ぎ止めていたいのです(どうか許されるなら、僅かばかりの猶予を)
殺人犯が逃げ出しました
鯉魚風に葬らる
真っ赤な水溜まりに横たわる君の残骸を見下ろして(嗚呼、とうとうやってしまった)
信念を裏切ってでも守りたかった、のに
退廃する世紀末の最中(導かれた必然の出逢いがもたらすのは、)
君が永らふは誰が為ぞ
地平線の彼方から響く名も無きレクイエム
【381-390】
僕がどんな事をしても、あの子は僕に興味を持たない
夢中遊行症のカロカガティア
俺を愛さないお前には存在価値が無い(だから死んでくれ、)
不安な将来ならばいっそ亡くしてしまい給えよ
包み込むは幾千もの剣先
偉人が欲を棄てよと言うのも無理からぬ話だ(そうしなければ、偉人にはなれなかっただろう)
夕闇に轍が響く
彼の名高いファウストに倣って、
目を反らす事が出来なかった(でも、止められもしなかった)
泣きたくなった時は夜の海に潜りなさい
【391-400】
男なんだから泣くなよ、とは言えなかった(余りにも哀しげな背中だった、から)
君って美味しそうだよねえ色々な意味でさ
偽善に満ちたピカレスク
あの時彼は何を思ってあんな事を口走ったのだろう(思考を巡らせてみるけれど、何時まで経ってもそれらしい結論には辿り着けない)
溢れ出る愛は外気に触れ、いずれ冷える
嗤笑を浮かべながら踏み潰した尊厳
出来過ぎたメロドラマの様な展開(これでノンフィクションだなんて、信じられないな)
こういう場合位は帳尻を合わせて欲しいものだね
穢れ切ったチャロアイト
赤というよりは限り無く黒に近しい、
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