第一話 ボブ、来日

たんっと空港からのタクシーから降りたボブは、宝物のいっぱい入ったリュックをぎゅっと握りしめ、これから住む自分のまちを見回した。
すると道の向こうからスキンヘッドの男が歩いてきた。

サムだ。

サムは、アメリカにいたころからの仲良しで、ボブよりも先に日本へ留学していたのだ。

「よぉボブ!」

親しげに片手をあげながらボブに話しかけた。
どうやら出迎えに来てくれたらしい。
「サム、久しぶり」とボブが口を開より早く、サムはこう言った。

「ジェニファー知らねえかい?」

…ボブは笑顔をひきつらせた。
どうやら出迎えに来てくれたわけではなかったようだ。

ちなみに、サムはいちごが大好物だ。
そしてジェニファーが作ったいちごが一番大好きなのだ。
この話はまたこんど、改めてするとしよう。

ジェニファーの居所を尋ねられたボブは、もちろん、今日本に着いたばかりなのだから知るはずがない。
答えようがないので、知らない、と首を横にふった。

「そうか、じゃあな」

サムはなんともなかったかのようにボブの脇を通り過ぎ、歩いていってしまった。
呆然と立ちすくむボブは、そのままサムの後ろ姿を見えなくなるまで見送った。




[ 1/4 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]




top
Remember
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -