短いの | ナノ
知識ありのサスケ成り代わりが勘違いされる

 なんでこうなったかなあ、と独りごちる。
 生まれてこの方口下手で、それがなんでかクールと勘違いされ、なんでか女子たちにもてたアカデミー時代。
 一族が殺されたショックで前世の記憶が戻り、自分があのうちはサスケの位置に生まれたことに気づいたと思ったら、今度は実兄に俺を恨め憎しみがお前を強くするとかなんとかそんなことを言われてわかっていたことながら悲しくなった。その後も、イタチの真実とかもう知ってるからさあ!と思うのだが大好きな兄は口を挟む隙を与えてくれず、会うたびに「くっそ、この野郎喋らせろよ!!」とわなわなしてたら周りから兄を憎んでいると勘違いされて復讐者認定された。
 気をつけていたのに大蛇丸に目をつけられ呪印まで付けられた中忍試験。愛に飢えた砂の末っ子には同類認定されるしで踏んだり蹴ったりである。別に私は闇落ちとかしてないから!もうイライラが溜まりまくって、切れるぞこらあ!と思ってたら木の葉崩しは起こるわ兄さんが久しぶりに会いに来るわで私のストレス耐性は神にでも試されているのかと思った。まじで。いや、兄さんに会えたことは嬉しいんだけど、やっぱり話聞いてくれないからな、あの人。
 まあ、マダラとかカグヤとかめんどくさいのとこれから戦うことになるのだし、強くならなきゃな、とか。呪印付けられたからには仕方がないし、とか。なんだかんだあの人実力はあるし、とかとかいろいろ考えた結果、里抜けして大蛇丸のもとに行こうと決心した少女時代。こっそり出ていこうと思ったのにサクラに見つかって泣かれてものすごく困った。忘れてたけどそんなイベントもあったね!と思い出したが時すでに遅し。せめて、復讐のためではないこととか帰ってくるつもりがあることとか伝えて安心させようと思ったのだが、残念なことにサクラも人の話を聞かない人種だった。「行かないで!」「・・・サクラ、あのね、」「いや!聞きたくない!」そんな、お前もか・・・。一瞬、泣き虫だった頃の可愛いサクラの顔が浮かんだくらいには私は疲れていた。その頃のサクラ、あんまり知らないけど。もう時間ないし埒があかないから気絶させて出てきたけどあの子風邪ひかなかったかな・・・今更ながら心配である。
 ようやく大蛇丸の部下たちと合流したと思ったら、今度は追っ手が来たということでどんどん人数が減って内心ドキドキした。結果、私も戦うこととなってしまった。しかも相手ナルトだしな!!もう一度言おう。相手ナルトだしな!!大事なことなので二回言った。なぜならナルトは話聞かないナンバーワンだからである。それでも私は口下手ながらに努力した。めんどくさいことになる前にきちんと話をしようと思ったのだ。でもやっぱり聞いてはくれなかったのでやけになって拳で語り合うことになってしまった。辛い。
 ところ変わって大蛇丸のところにきたら今度は毎日身の危険と隣り合わせの生活である。あの変態は文字通り私の体を狙っているのだ。ぞぞぞ。寒気がした。ついでに大蛇丸のところに来てからはナルトたちも怖くて仕方がない。彼らは血眼になって私をさがしている。私はよく猫に例えられるのだが、その通りである。追いかけられると逃げたくなるのだ。だってなんか怖いじゃん。しかも追っかけてくる人数増えるし。誰だよーサイとヤマトって誰だよーなんで面倒なのが増えるかなあ!
 その後無事大蛇丸を殺した私は小隊「鷹」を結成することとなる。なぜかって、そろそろ本気で兄と話をしなければ兄の体が持たないからだ。話を聞かない兄ではあるが、同時に私の大切なたった一人の家族である。助けたいと思うのは当然のことである。
 さてそんな私の小隊であるが、なんと彼らは私の話を聞いてくれる奴らであった。珍しいこともあるものだ。まあ、香燐は時々話を聞いてくれないし変態臭いところがあるしたまに貞操の危機を感じるのだがそこは多めにみよう。水月と重吾が助けてくれるから。奴らは良い奴である。
 「香燐も、水月も、重吾も、みんないいやつだね」
 「なんだよ、急に」
 「私の話を聞いてくれるから」
 言ってて思うが、このセリフは完全に可哀想な奴である。案の定、同情を含んだ顔をされた。重吾はイマイチ何考えてるかわからないけど。
 だがそんな彼らも数日後には私の言ったことを理解することとなるのである。
 
 「ハナコ!復讐なんてやめろ、帰ってこい・・・!!」
 「だから私別にそんなこと」
 「仲間なんて集めて今度は何をする気なの!?」
 「いやただ兄さんと」
 「僕は君のことは知らない。だけどナルトやサクラがこんなに必死になって君を連れ戻そうと頑張っているんだ」
 「・・・・・・ハナコってさ、」
 「皆まで言うな」
 「・・・うん」

 いつになったら誤解は解けるのか。道のりはまだまだ長そうである。














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