恋々 | ナノ




 あの日から数年。砂と同盟を結んだり、うちはサスケが里抜けしたり、ネジ兄さん達がそれを追いかけて怪我をしたりうずまきナルトが修行の旅に出たり色々あった。
 私はといえば、時期当主としてさらに修行に明け暮れ、またお父様の仕事を引き継ぐためお父様の横で学ぶ日々である。
 とまあ、私の話はここまでにしておく。肝心なのはネジ兄さんのことだ。
 ネジ兄さんはといえば、他の同期よりも一足先に上忍となり、活躍せしめてる。しかも、しかもだ!もとより綺麗な顔立ちをしていたネジ兄さんはここのところますます美しくなっているのだ・・・!なぜ、なぜなんだ。もっと男らしい顔つきになっても良い年齢であるというのになぜ美しくなるばかりなんだあの人は。
 元来フレンドリーとはかけ離れた場所にいる人なので中々アピールできる猛者は出てきていないらしいが、表立っていないだけでネジ兄さんは大変おモテになる。このままでは私が女としてネジ兄さんに認められる前に彼女が出来てしまうやもしれない。今はまだ兄さんも色恋に興味がないらしいが、彼が色恋に目覚めた時点で終わる。私が。
 というわけで、私も修行だなんだとそればかりにかまけている訳にはいかなくなったのだ。

 「・・・・・・・・・」
 鏡の前で唸る。目の前には難しい顔をした少女が写っていた。
 そう、少女、である。
 今の私がネジ兄さんと並んでも、妹くらいにしか見えない。ついでに言えば。
 私はそっと自分の胸に両手を当てた。ない。デコボコがほぼ、ない。せいぜい、丘くらいのものである。
 「・・・ハナコ?どうしたの?」
 ドアの方を見ると姉が不思議そうな顔をして見ていた。その胸元に視線を移す。ああなんて高い山なのか。私だってお姉様と同じ遺伝子を持っているのだ。あと数年もすれば私だって・・・。
 「わ、私だってええええーーーっ!!」
 私は目の前の山を押しのけて逃亡した。





 「・・・わっ」
 家を出たところで誰かにぶつかる。
 「ごめんなさい!」
 慌てて顔上げるとそこには見慣れた顔があった。
 「ネジ、兄さん・・・」
 やっぱり、綺麗だ。たちまち頬が紅潮しそうになるのを目をそらすことでこらえる。バカじゃないの、私。何が、綺麗だ、よ。私が兄さんにそう思わせなきゃいけないっていうのに。
 「ハナビ様・・・そろそろ貴方も時期当主として落ち着きを持ったらどうなんです」
 しかし相変わらす言うことは冷たかった。だがそのおかげで冷静さを取り戻す。
 「ネジ兄さん、お久しぶりですねえ。お時間があるのなら私とデートしません?」
 「あいにく、俺にそんな時間はありませんね」
 くっそ、これだから彼女ができないんだ!出てきそうになった悪態を必死に飲み込む。冷静になれ、そのおかげで私にまだ希望があるのだ。
 それに、今日は兄さんの気を引くネタも持っているではないか。こんなくだらないところで不意にするわけにはいかない。
 「兄さん、一昨日がなんの日だったかご存知?」
 「・・・えっ、・・・・・・・・あ」
 「気が付いたみたいですね。そうです私の誕生日でした」
 「ま、待ってください、一昨日は俺は任務で・・・」
 「わかってます。私は兄さんを責めたいんじゃないんですよ。・・・でも、でもね、やっぱり私はネジさんにもお祝いしてもらいたいんです。いくら家族や友人、色んな男の子たちから祝ってもらったって、そこにネジさんがいないと、少しさみしいもの」
 「・・・・・・・そう、で・・・ん?男の子たち?」
 「ああ、私って結構モテるんですよ」
 いくら他の男の子にモテたって、目の前にいるこの人にモテなければ意味なんてないけれど。
 「は、え、・・・まさか彼氏なんていないでしょうね?貴女は次期当主なのですからそれにふさわしい人と、」
 「はい!そのお話の続きはデートの時にでも。・・・それで?どうするんです?もし今お忙しいのならまた日を改めて、じっくりと、付き合って頂こうと思うんですが・・・」
 「・・・分かりました。どこへでも何なりとお付き合いしますよ」
 ため息混じりに彼は言った。よし、勝った。心の中でガッツポーズを突き上げる。
 
 かくして私はネジ兄さんとデートの約束を取り付けたのだ。





 

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