はじまりの予感 2 「こんにちは、麻人です。はじめまして、ですよね?」 本日一発目の客は、俺を指名したわりには初めての客だった。 多分、俺の常連か何回か相手した客から噂を聞いたんだろうけど、それにしてもこの人、やばいくらいイケメンなんだけど。 俺もそこそこの美形さを武器に仕事をしてるけど、目の前の彼はまるでイケメン俳優みたいだ。 今、一番注目されてるイケメン俳優の松田だっけ? 名前は忘れたけど、朝ドラに出てブレイクしたやつよりも整った顔をしてるかも。 「お兄さん、カッコイイね。なんて呼んだらいい?」 「海斗でいい」 「カイト?」 カイト…凧…かな。 つまり彼もコトが終わると、糸が切れた凧のように、どっかに飛んで行ってしまうってことか。 「じゃ、カイトさん」 「海斗でいい」 「じゃあ、カイト?」 「それでいい」 やばい、惚れそう。 カッコイイじゃん。 「事前に聞かされなてないんだけど、カイトさ。タチ受けどっちがいいの?」 「受けを頼む」 受けをやれ、ってことかな。 よかった。 カイトさんには突っ込むよりも、突っ込まれたい。 「了解。優しくしてね?」 それから、料金やプレイ内容の説明をして、希望の俺の一人称(俺、僕、名前など)やシチュエーションを話し合い、早速仕事を開始した。 Bkm prev | next 2/10ページ PageList / List(目次) 箱詰め(TOP) |