カミングアウトは突然に 7

「バイトかあ…」

僕の学校はアルバイトが禁止だから、僕はバイトの経験がない。
進路も決まったし、自由登校で仮卒状態の今はバイトしても進路に支障はないだろう。

結局、妙に真面目な僕は18禁な動画も殆ど見なかったし、アルバイトもすることなくここまで来た。
言って見ればアルバイトも人生の経験のうちだし、僕はスマホでアルバイト先を探してみることにした。

「いろんなバイトがあるんだなあ…」

思ったよりも高校生可のアルバイトは多く、職種も多岐に渡っている。
その中で、自分でも出来そうなものを一つ一つ厳選していく。

「飲食関係は不器用だから却下でしょ、ファッション関係はファッションセンスがないし…」

多岐に渡っているわりに、悲しいかな、僕がやれそうなアルバイトは限られてくる。

「カラオケや漫喫もありだけど客層があれだし…やっぱ、本屋かレンタルショップかな」

読書は好きだし、映画も好きだ。
何より不器用な僕でもなんとか仕事が出来そうで、その中でも、最終的には近所のレンタルショップに絞った。

「えっと…連絡先は……」

お目当てのお店はそれなりに大手のチェーン店で、僕の家から最寄の店を探す。

「あっ、もしもし。アルバイトの件で電話させて頂いている者ですが……」

電話番号のリンクから連絡を入れると、数回のコールで電話は繋がった。

「はい。高校生です。春には大学生で…はい。2月から自由登校になったのでいつでも入れます」

緊張したけど、思っていたよりスムーズに話は進む。

「日曜日ですか?はい、大丈夫です」

日曜日に入れるかと聞かれたけど、休みの日に遊ぶような友達もいない僕は余裕で大丈夫だと返事する。
実はかえって暇を潰せるし、日曜日に働かせて貰えたらとても助かるんだよね。

「え、今日ですか?」

そんな感じでとんとん拍子に話は進み、急遽、夕方過ぎに面接することに決まったのだった。



「それじゃ、行ってきます」

朝昼兼用のご飯を食べて、久しぶりに制服を着込んで家を出た。
時刻はまだ2時過ぎだけど、写真付きの履歴書やら何やらを用意しなきゃいけない。

出掛ける前にスマホで証明写真を撮って、近所のコンビニでプリントアウトして貰った。
それから漫喫にこもって履歴書を書いて、写真を貼る。

初めてのアルバイトだからよくわからないけど、アルバイトだからスピード写真でも大丈夫だよね。

「き、緊張する…」

そうしているうちに面接時間が近付いて来て、僕は面接時間の5分前に着くように、アルバイトする予定のレンタルショップへと向かった。


Bkm
prev | next
7/12ページ

PageList / List(目次)
箱詰め(TOP)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -