元ヤン上等! 1

卒業後の進路が決まらない。

「どうすっかなあ……」

卒業のほうはギリギリ出来るはず。
今んとこ、担任から特に呼び出しもないし。

問題は進路のほう。

俺の頭じゃ進学はまず無理だし、正規の就職活動も、この頭と見た目じゃ無理っぽい。
わかっちゃいるけど、今更、変えられっかよ。



そうなると、やっぱバイトかな。
いわゆるフリーターってやつね。

ニートだけは出来るだけ避けたいし、そうなると自分に出来るのはアルバイトだけの気がする。

バイトするにも髪型やファッションで引っ掛からなそうなのは、肉体労働や警備、あとは服屋に…探せば結構あるか。

けど、アルバイトはそうそう長くは続けてらんないし、実はこれでも一応、真面目に悩んでいたりする。



名前さえ書いておけば合格するおバカ高校三年生の俺は、2月から自由登校になった。
真面目に就職活動しているやつや進学が決まらないやつはまだ登校しているようだけど、俺の高校は、俺みたいな中途半端なやつのほうが多い。

俺はと言えば授業は平気な顔してサボるくせに、しっかり出席日数を計算していた。
留年するやつや中退するやつが異常に多い高校だけど、俺は一発で卒業して早くシャバ(社会)に出たかったからだ。


学ランの胸ポケットから煙草を取り出して、ライターで火を着ける。

「〜〜〜〜!!」

煙草を咥えた俺は、軽く吸った瞬間に盛大にむせ返って、

「…チッ」

足元でそれを力任せに揉み消した。



べ、別に煙草なんか吸わなくても生きてけるし!

ついでに酒も弱かったりするけど、そんなことどうでもいいしっ。

喧嘩が強けりゃいいんだよ。

そう、喧嘩上等じゃ!


そんな俺がなんで無理に着なくてもいい学ランを着て学校の屋上にいるのかと言うと、一コ下の後輩から呼び出されたからだ。



「遅ぇ…」

それにしてもなんの用だろ。
もしかして…タイマンとか?

その、なんとか卒業も決まったし、出来れば卒業式までは大人しくしときたいんですけども。

卒業したら俺がいくらでも相手してやらあ!…ってゆーのはカッコ悪いかな?

つか、売られた喧嘩は必ず買うのが俺らの流儀だから、そう考えれば今回も買うしかない気がする。

「………」

ま、まあ、卒業はなんとか確定したし、表沙汰にならなきゃいいか。
途中でばっくれてもいいしさ。
うん。



そんな俺、瀧川虎太郎は、埼玉在住のバリバリのヤンキーだ。


Bkm
prev | next
1/22ページ

PageList / List(目次)
箱詰め(TOP)
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -