06:38
 
次に目を覚ました時、真っ先に目に入ったのは黒だった。まだ夜明け前なのだろうかとぼんやり考えながら視線を僅かに上の方へと移動すると、そこにあったのは白い肌に浮かぶ鎖骨。この時点で大分私の血の気は引いていたが、念の為にもう少し顔を上に向けると…案の定そこには臨也の顔がありました。
 
「う、わあぁぁぁっ!!」
「!?」
 
反射的にその胸板を突き飛ばすと、臨也の身体はベッドの向こうへと消えた。どすん!とその身体が床に叩きつけられた音と同時に、私に繋がる鎖も引っ張られ、左手が引き摺られた。
 
「いったぁ…ちょっと、いきなり何するの」
「鎖引っ張んな痛い!」
「俺の方が痛かったから。蹴るなって言ったよね」
「蹴って無いし!アンタが約束破ってこっち向いてたのが悪いんじゃん!」
「はぁ?確かに俺は君に背を向けて寝るとは言ったけど、それは眠りに入るまでの話しだよ。寝ている間の事までは自分の意思でどうにか出来る筈が無いだろ」
「それにしたって、いいい今のは何かやだった!」
「理不尽極まりないな。…ねぇ、どういう状況が嫌だったの?俺、寝てたから解らなかったんだけど」
「ちょ、こっち来んな!」
「抱き枕替わりに君を抱きしめてたとか?そういえばそんな感じの夢を見てた気がしなくもないんだよね」
「ば、っかじゃないの!ちょっと、近付くなって、ば!」
 
にやにやとした笑みを浮かべながらベッドのスプリングを軋ませて、じりじりと近寄る臨也に対して後ずさる私。この時点で次の展開を予想するべきだったのだが…見事なまでに、さらに後ろへと後退したところで後ろ手につこうとした私の手が空を切った。そのままの流れで傾く身体。ぐらりと足が浮かび掛けたところで、がしりと臨也の腕がそれを抑えた。
 
「危ないなぁ、気を付けなよ」
「だ、誰のせいだと思ってん、だ!!」
「これであおいこって事で良いよね、落とさなかっただけ感謝しなよ」
「アンタってホントムカつく…!」
「いつまでもそうしてないで早く起きなよ、俺顔洗いたいしさ」
「うっさい!私の方が起きるの早かったし!」
「そう言う事にして置いてあげるよ」
「は?してあげるも何も事実じゃん」
「あのさ、俺としてはそのままでも良いんだけど、前、肌蹴てるよ」
「!?臨也死ね!」
「俺のせいじゃ無いのに、酷い言い草」
 
朝から散々でした。
 
next!!
 
 
BACK
 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -