20:07
 
「疲れたなぁ」
「それこっちの台詞!」
「君は好き勝手買い物してただけだろ」
「いやいや、アンタに合わせて走るのめっちゃ大変だったからね。死ぬかと思ったからね私」
「そう言って実際に死んだ奴は居ないから大丈夫だよ」
「そんなの解んないじゃん、世の中のどっかに一人くらい居たかも知んないじゃん」
「はいはい、良いからさっさと代わってくれない?俺も手、洗いたいんだけど」
「ちょ、押さないでよ!てかもういい加減これ外しても良くない?十分楽しんだでしょ?」
「まだ一日も経ってないよ」
「はぁ!?こんなん何日続けるつもり!?」
「俺が飽きるまでかな?」
「かな?じゃねぇよふざけんな今すぐ外せ!」
「あーお腹空いた。早く鍋やろうよ鍋」
「ちょ、引っ張んな!私まだうがいしてないって!」
 
池袋のデパ地下で買った食材はどういう手を使ったのか知らないが既に臨也の家に届けられていた。そう言えば途中から気にもしてなかったけど、私が色々買い漁った服だの靴だの鞄だのその他色々も、一つたりと手荷物として持つ事はなかった。それらはこちらに送られて来てはいないようだ。まさか買う振りをして全部戻してたんじゃ、なんて考えが一瞬浮かんだけれど、実際にカードを使って会計をしている姿も見たし、それは無いと思う。という事は私の家の方に送ってあるのだろうか。……家の中に置かれてたりしたらどうしよう、帰るの怖くなって来た。そんな事を考えながら食材の用意をしていると、それまではガスコンロや土鍋を取り出していた臨也が急に私の隣へと立ち、材料の一つを手に取った。…どうでも良いけど、何で鍋セットの場所だけはすぐに解ったんだコイツ。
 
「え、何、手伝ってくれんの?」
「何その明らかに意外とか思ってる顔。昼だって手伝ってあげたよね」
「皿出しただけじゃん。え、包丁とかちゃんと使えんの?」
「自分で言うのもどうかと思うけど、刃物の扱いに関してはかなりの腕だと思うよ、俺」
「刃物っつってもナイフだろうが。まさかナイフで材料切るとか止めてよね」
「え、何で?」
「何で?じゃねぇよ!やる気だった訳!?やだよ臨也のナイフって血とか色々染みついてそうだもん!格好つけてブレード部分ぺろって舐めてそう!」
「何そのイメージ、特に後者。いくら俺でもそんな事しないよ。…まぁ、血くらいはついた事あるけど」
「絶対駄目!材料は私が切ります!!」
「ちゃんとその都度手入れしてるから綺麗だって」
「衛生上の理由じゃなくて気分的な問題です!あーもうこっちは良いから、軽く拭いた昆布に切れ目入れて、鰹節と水と一緒に鍋に入れて火つけといて」
「切れ目って?」
「適当で良いよ」
「ナイフで?」
「はさみで!」
 
高級食材を贅沢に使いました。
 
next!!
 
 
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