06:42
 
「いざやあぁぁぁぁ!!」
「ちょっと、シズちゃんみたいな呼び方しないでよ。それにこのマンション、完全防音とまではいかないから流石にそんな大声出されると困るんだよね」
「黙れこの迷惑製造機!人の職場に何吹き込んだ!」
「トラブルメーカーだなんて、心外だなぁ。俺は別に何も吹き込んでなんか居ないさ。ただ、君がちょっと荒んでるみたいだから暫く休みにしてあげて欲しいなってお願いしただけでね」
「誰のせいで荒れてると思ってんの!アンタのお陰で上司にとんでもない口利いちゃったんだけど!首になったらどうしてくれんの!」
「その時は俺が貰ってあげるよ」
「ふざけんなアンタに嫁ぐくらいなら静雄に貰ってもらうわ」
「シズちゃんにだって選ぶ権利くらいはあると思うよ?」
「それどういう意味!」
「まぁまぁ。お詫びって言ったら何だけど、実はこんな物用意して置いたんだよね」
「……何それ、ビックリ箱?」
「君が驚いたならそれも間違いではないと思うけど、正確に言うなら指輪かな」
「臨也が指輪とかキモい、絶対何か裏がありそう、怖い」
「愛する人にそんな風に思われてるなんて、傷付くなぁ。……おいでよ、付けてあげる」
「えー、何かやだ。自分ではめるから良いよ」
「駄目、それじゃああげないよ。見て解ってると思うけど、かなりの額したんだよね、これ」
「……………」
「そうやって最初から素直に受け取れば良いのに」
 
臨也の男のくせに細い指が、私の手をとる。
 
「……後で金属店行って売るから」
「好きにしたら良いよ、まぁ」
 
気恥ずかしくて顔を背けていると、次の瞬間聞こえてきたのはガチャリと言うおよそ指輪をはめる際に発するとは思えない音と、指では無く手首に感じる金属の冷たさ。
 
「……は?」
「行けたらの話だけどね」
 
ガチャリ、と自分の右手首にも私に付けられたものと同様の物をはめながら、臨也が笑う。笑う。一メートル程の鎖で繋がった、所詮手錠と呼ばれるそれで、今や私と臨也は文字通り離れられない存在となった。
 
「はああぁぁぁぁぁぁ!?」
 
本日一番の絶叫でした。
 
next!!
 
 
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