仲介役の憂鬱 




『あの、』

「なんじゃ?」

『これ、落としましたよ。』

「おお、ありがとナリ。」


* * *

「ブン太、これやるよ。」

「お、サンキュー。」


よお、俺は丸井ブン太。シクヨロ。

ダチから貰ったポッキーを堪能してると、虹未来が勢い良く教室に入って来た。


『聞いてよ丸井君! あ、おはよう。』

「...色々順番間違ってるぜぃ。」


虹未来は鞄を置くこともせず、またいつものように話し出した。


『なんとね! 今日は仁王君の生徒手帳拾っちゃったんだ!!』

「へえー。」

『"落としましたよ" って渡したら、"ありがとナリ" だって!』


きゃー!これで今日も生きていける!

頬を赤らめ幸せそうに騒ぐ虹未来に気付かれないように教室を出た。


* * *

「仁王...」

「ブンちゃん!調度良い所に来たのぉ。」


仁王のクラスに行くと手招きされた。

仕方なく行く。


「聞いてくれんか、ブンちゃん。」

「何だよ。」

「今朝、夢ちゃんに生徒手帳拾って貰ったナリ!」

「...へえー。」

「実はわざと仕掛けたことなんだがやっぱり夢ちゃんは優しいのぉ。"落としましたよ" って笑顔で渡してくれたんじゃ。」


今日も可愛いかったナリ。

頬を赤らめ幸せそうににやける仁王は、いつもの仁王じゃなかった。


「俺、もう疲れた...」

「どうしたんじゃ?」


* * *

「と、言うわけで。」

『え、え? 丸井君、これって...』

「ど、どういうことじゃ? ブンちゃん。」

「もう疲れた。両想いなのに勘違いしてるヤツらのノロケを聞く俺の気持ちになってみろよぃ。」

「『え?』」

「あー、もう、とにかく伝えたいこと言えよ。」


「『!』」


疑問符を浮かべる虹未来と仁王に少し投げやりになり、2人を向かい合わせた。


『あの、仁王君...』

「夢ちゃん...」


え、マジで言うのか...?

仕向けた俺が言えたことじゃねーが。


「『結婚して下さい!』」

「飛ばし過ぎだろ!!!」



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『え?』

「そうかのぉ? じゃあ、」

「『結婚を前提に付き合って下さい!!』」

「もう結婚でも何でもしろよぃ...」





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