留守にしてみた「あれ?」 頻繁に訪れるようになった海友会館3階。目的の部屋の前には見慣れた後輩の姿があった。 「赤也。」 「あ!部長!」 「赤也も空の様子見かい?」 「そっス。最近見かけないんで。丸井先輩や柳生先輩も心配してました。」 「誰も会っていないのか…」 「部長もっスか?」 「ああ。何度か裏長室に来たんだけどね。」 「取り敢えず入ってみましょうよ。」 裏長室に鍵が掛かっていることは滅多に無い。不用心な気もするけど立派な番犬が居るから問題ないのか。ガチャリとドアノブを回すとやはり容易く開いた。 「おーい、空ー。」 「居ない…みたいだね。」 「なんだよー。虎丸達も居ないっスね。」 「そういえば…」 「おやおや、幸村君と切原君かの。」 「うおっ!」 「校長先生…」 「空君に会いに来たのかい?」 「はい。最近姿を見ていないので…」 「ここのところ他校からの依頼が多かったからのぉ。」 「他校?」 「四天宝寺や氷帝じゃ。」 「マジで!?」 「空が受ける依頼は立海だけじゃないんですね。」 「最初は立海が主だったんじゃが評判が広まってのぉ。果ては比嘉中までもが依頼を寄越す。」 「比嘉って…」 「…」 「ほっほっ、引っ張りだこじゃな。」 「あの、それで空は何処に…」 「空君は里帰り中じゃ。」 「里帰りっスか?」 「表向きの名目じゃがな。本当は療養のための休暇なんじゃよ。他校での依頼で怪我をしてしまったみたいでのぉ。」 「怪我!?」 「そんなに酷いんですか?」 「普通の病院では治せないそうじゃ。此処に行くといい。」 校長先生から渡されたのは地図が描かれた紙だった。 「これは…?」 「空君の行き先じゃ。」 「!」 「行ってくれんかの。」 --------------------------- 「空君は責任感が強いからのぉ。また頑張り過ぎてしまったようじゃ。」 「あいつ…」 「空らしいですね。」 「きっとじっとしていられないじゃろ。見張っていて欲しいんじゃ。」 「っス!」 「分かりました。」 「ほっほっほ。頼んだぞ。」 |