起死回生してみた




「空さんっ!!!」

声を荒げることなど滅多にない財前が空ちゃんの名前を叫びながら水晶玉を投げつけた。バチバチと結界の壁に阻まれたが、水晶玉の勢いは消えることなく結界を突き破る。そのまま酒呑童子の腕に命中した。

《居たのか、小童共。》

「っ…」

全く効いていない。それ以前に漸く今になって存在を確認されたらしい。

「くそっ!」

どうすればいい。空ちゃんから預けられたら最後の頼みの綱だった水晶玉も呆気なく地面に落ち、コロコロと転がる。それは陣の中心で動きを止めた。その時、

ピカァ

《!》

「んなっ!?」

『…上出来っすよ、光さん。』

空ちゃんは既に陣を描き終えてたようで。光の中から飛び出した青い龍と白い虎が酒呑童子に喰らいついた。

《ぐあぁ!》

『終わりっすよ、酒呑童子。』

《ぐ、おのれ小娘ぇ!お前を喰らえばっ!!》

『Good night。』

不意に音は止み、いつの間にか酒呑童子の姿は跡形も無く消えていて、そこには空ちゃんと鷹と犬しか居なかった。

『助かったよ、龍丸、虎丸。さあ戻りんせ。』

《クゥン》

『ボクのことはいいからいいから。神獣なんだから穢れまみれのこんな場所に長居しちゃダメっす。』

名残惜しそうに何度も後ろを振り返る2匹は、陣の中心にある水晶玉の中に消えていった。

「空さん!」

『あー良かった。殿方は無傷。』

「俺らのことよりも自分や!めっちゃ血出てるやないかっ!」

『んあー?ノープロブレムっすー。』

「…フラフラしとるばい。」

「あかんなあ… 空ちゃん、ちょっと我慢してな?」

『ワオ。』

「し、白石!何いきなり空のこと抱え上げてんねん!」

「はよ手当てせなあかんやろ。急いで此処から出るで!」



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「部長、空さんは俺が運びますわ。」

『うわお。』

「俺も空ちゃんを運びたいばい。」

『あわわ。』

「ちょ、空目回しとるんやけど!」

「謙也さんは黙っといて下さい。」

「なんでやねん!」

「(…はよ部室に戻りたいんやけど。)」










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