住人を増やしてみた太陽と雲が共存する空、そんなある日のこと。 「ピヨッ。」 『…んにゃ?』 急に体を持ち上げられて、夢心地だった意識も急浮上した。 「おやすみのところ悪いのぉ。」 『まーくん先輩…あ、やぎゅ先輩も…』 「突然すみません、虹未来さん。お願いしたいことがありまして…」 『?』 「まあ取り敢えず来てみんしゃい、空ちゃん。」 仁王の細い腕に抱えられて、外に連れ出された。 * * * 《ミャー》 『…みにゃー。』 連れてこられたのは海友会館のすぐ近くにある大木の下だった。 「あの猫、最近この辺をウロウロしててのぉ。住み着いてるみたいナリ。」 「ですが人には慣れていないようで、近付いたら驚いて木の上に逃げてしまったんです。」 『降りれなくなっちゃったんすねー。』 「はい…」 「助けてやって欲しいんじゃ。」 『いえっさー。承知しやした。』 動きやすいように袖を捲ると、手身近な太い枝に両手を掛けた。 『んしょっと。』 「身軽じゃのぉ。」 「ス、スカートがめくれますよ!」 『今日はキュロットっす。』 逆上がりの要領で登っていき、あっという間に猫の所まで辿り着いた。 『おいで。助けに来たっすよ。』 《ニャー》 『ほら、』 《ガブッ》 手を伸ばした瞬間、驚いた猫は空の指を噛んだ。 「!」 「虹未来さん!」 『大丈夫っす。よしよし、怖くないよ。』 《…ミー》 『良い子っすね。さぁ、降りましょー。』 「飛ぶんじゃ、空ちゃん。受け止めちゃる。」 「落とさないで下さいね、仁王君。」 「任せんしゃい。」 『行きますぜぃ。とりゃっ。』 --------------------------- 「どうじゃ、ナイスキャッチじゃろ?」 「少し冷や冷やしましたよ。」 『どうもっす、まーくん先輩。』 《ミャー》 「プリッ。」 『裏生徒会室に新しい住人が加わりましたー。』 |