さん
暗闇になるといつも思い出す。
"ポケモン"の言葉がわかる子だったつかさは本当の親に気味悪がられて、ある日、知らない人に大きなお城に連れて行かれて住むようになった。
与えられたのはたくさんのぬいぐるみ、玩具に囲まれた子供部屋。それとコアルヒー。
最初こそ、意味がわからなかったが次第にどうでもよくなりコアルヒーとよく遊んだ。一緒に会話を楽しんで、たまに部屋へとやってくる独特の制服を着た人や"おとうさま"にいたずらをしたりして、遊んだ。
けど、それもつかのまだった。
ポケモンの言葉を理解できたはずのつかさはある時、突然言葉がわからなくなった。言葉が理解できないコアルヒーとなんとか意思疎通しようと話しかけても「くわ?」という鳴き声が耳に入るだけでわからない。
今までの現実が崩れたつかさは"おとうさま"に泣きついた。そしたら"おとうさま"は言ったのだ。"オマエハモウイラナイ"と。意味がわからなかった。理解が出来なかった。
それでそのまま光の入らない冷たくて暗い部屋に入れられた。時々"おとうさま"はやってきてくれたけどいつも目がぎらぎらしていて怖かった。何か言われた気がする。何かされた気がする。何かを、捨ててしまった気がする。
気がつけば数年の時間がながれていて、つかさはプラズマ団一員として借り出されることになった。暗いところからでたつかさを迎えたのは知らない緑の青年と、"おとうさま"だった。
おとうさまは、めずらしく静かな声で『王の為に』と声を上げた。
それで、それとは別にコアルヒーの入ったモンスターボールを渡しながらつかさだけに囁いた。
『私の為にその身を捧げるのならば、"愛して"あげましょう』
"愛"。
大事なものを失ったはずのつかさは、何かを取り戻そうとその言葉に依存した。きっとその"愛"があればすべてが元通りになる。おとうさまの言うことを全部聞いて、成功させて――――そうすれば褒めてもらえる。
"愛してくれる"
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