さんじゅうに


洞窟にはいって直ぐにプラズマ団の姿。

人の背より高い壁の前でひとつのボールを品定めするように見ていた。そして反響する足音に気付いた彼等はポッドとつかさへと顔を向けた。


「プラズマ団!奪ったポケモン、返しやがれ!」

男のプラズマ団がその言葉に鼻で笑いボールを見せた。中にはマメパトが助けて、とでも言うようにこちらへとその瞳を向けている。

「拒否する!あんな子供にポケモンは使いこなせない、それではポケモンが可哀想だろ?」

女の子のボールを下げて、懐からモンスターボールを取り出した。

もう一人の、女性のプラズマ団も同じようにボールを取り出して構える。

「お前らのポケモンもプラズマ団に差し出せ!・・・いや、奪ってやるよ!」

「やれるもんならやってみろってんだ!つかさ、いくぞ!」

「―――っ!」

戦闘が始まる直前。ポッドに名を呼ばれ声を詰まらせてしまうつかさ。

その中で、"つかさ"という名前に反応したのが、女性のプラズマ団だった。


構えをといた女性プラズマ団員はポッドの背後にいるつかさを見ると歪に微笑んだ。

「へ、ぇ。アンタ、つかさだったんだ服装が違うからわからなかったわ」

「・・・・・・。」

「なぁに?ゲーチス様とN様の期待を裏切って、今度は組織まで裏切る気?」

「・・・。」

その言葉でポッドはつかさも"プラズマ団"だということを咄嗟に思い出しつかさを視界から隠すようにたった。



ポッドは忘れていた。

いや、忘れていたわけじゃないが、ポケモンを奪われてたという憤りですっかり抜けていたのだ。そこまで思い出すとどんどん頭から血の気が引いていく。

つかさはプラズマ団で、待遇はかなり悪い。

だというのにつかさは今、プラズマ団と対している。しかも、相手の中には"つかさを知る存在"がいた。

つまり、"つかさはもうプラズマ団には戻れない"のではないか―――――・・・




ポッドは自分がつかさを更に追い詰めてしまったという事態に気付き、唇を噛み締めた。


[ 33/55 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -