ONE PIECE [LONG] | ナノ

今夜、キミの夢を見る

キュン死する。何この生き物可愛すぎるんだけど。

流石にソファーに寝かせるのも可哀想だったからベッドに移動してやろうかと優しさを見せたのに、ベレッタが寝呆けて擦り寄って来た。おれの服をぎゅっと掴んで、幼い寝顔を晒して...本当に死ぬかと思った。なんて無防備なんだろうと思った。

「人の気も...知らないで、」

呟いた言葉は、当然彼女には響くことはなかった。



年の離れたお嬢さん、初めて見たのはセンゴクさんの部屋。
バッチリメイクで綺麗なお嬢さんがまるで子供のような笑顔でやって来て、とても嬉しそうに頭を下げていた。

「海軍第13支部より本日本部へ異動して参りましたベレッタと申します!」
「あァ...この間、異動願いをくれた子だね」
「はい!受理して頂いて有難う御座います!私、どうしても直接お礼を言い、あ、申し上げたくてっ」

その時、おれは少なくともセンゴクさんの目の前に座ってて、テイション高い彼女に近いところに居た。
まァ、彼女の目にはおれなんざ映ってなくて完全にスルーされてたんだけど。

「苦労したようだね」
「いえ、あの、し、仕事には察して苦労したわけではないんですが...その、」
「あァ...それ以上はいい。ところで次の希望はあるかい?」
「あ、はい!私...勝手ながらガープ中将の部隊を希望しております!」
「.........ガープの?」
「同期の仲間がいまして、彼らがとても強くなったと聞いております。ですから私も共に成長したいと考えております」
「そうか...ではそれも視野に検討する。近いうちに通達するから今は休んでおくように」
「はい!有難う御座います!」

年甲斐もなくときめいたのは...彼女が本当に嬉しそうにお礼を言った瞬間。
見た目とのギャップ、花が咲いたような可愛らしい笑顔に惹かれなかったらきっとおれは枯れてた。

「.........嵐みたいなコ。まだ異動時期じゃないでしょ?」
「ガープの頼みでな。向こうで随分な扱いを受けてたそうだ」
「あー...それって、」
「お前が考えてる程のことではないらしいが、近いうちにそうなってた可能性はあるな」
「ふーん、それでか」

軍ってのはむさ苦しい男所帯だからそういうのがあってもおかしくはない。それなりに強けりゃねじ伏せることは出来るが、それが出来なきゃ辞めるか泣き寝入りするか...割り切って従うかしか選択肢はないんだろう。
大方、彼女はどれも選べず悩んで...ガープさんとこにいる昔の仲間に相談してたんだろう。そっから話がガープさんへセンゴクへと流れた。じゃなきゃあんな時期の勝手な異動は有り得ねェ。

「まァ、ガープも引き取るって話だったが本人も希望してるなら問題なさそうだな」

咲き乱れる花を海上に浮かべるには勿体ない。

「センゴクさん」
「何だ?」
「あのコ、おれが引き取りたい」

つい最近、またおれの補佐が逃げ出した。折角だからと言えばセンゴクさんは顔色変えずに呟いた。

「.........下心、全く隠せてないようだが?」
「隠すつもりないよ。フツーにタイプだったし」
「軽い男は嫌われるぞ」
「それでもいいよ。てか、あのコ、書類捌き得意かなァ?」

本当は、得意でなくても構わなかった。

「.........あのコに何かあればすぐにガープが飛んで来ることを忘れるなよ」



「初めまして。ベレッタと申します」
「ようこそ、いらっしゃい。今日から補佐よろしくね」
「こちらこそ...よろしくお願い致します」

花は、咲き乱れなかった。希望外のところに異動となった所為とは分かっちゃいたが少しムッとした。
おれのとことガープさんのとこ..違いがあるとすれば陸上か海上か、戦闘の有無くらいで後は何もない。それなのに、

「あらら...随分と堅いねェ。もうちょっと愛想良く仲良くしようよ」
「申し訳ありませんが...そういうのは得意ではないんです。代わりに仕事は滞りなく行いますから」

初めて見た時の笑顔は何処へ消えたのか、彼女はギャップのないお姉さんになってしまった。
だけど...仕事に対する姿勢は綺麗なもので捌けてたと思う。ただ、幼稚な発想で困らせようと逃走しても追い掛けて来ることはなく涼しい顔された時にはヘコんだ。それに...別のコに声を掛けても同じで、全く男として見られていないことにもヘコんだかな。

だからといって消えなかった想い。それに彼女は気付いちゃない。


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