ONE PIECE [LONG] | ナノ

今夜、一緒にいてイイ?

.........お腹、空いた。
何故、また一から調理を始めてるんだか分からない。分からないけど...でも私のハンバーグは消えてしまった。食べたくて作ったのに甲斐性なしの上司に食べられた。折角作ったのに作り直しとか、面倒すぎて本当に落ち込む。

「意外な二面性に本気でビックリした」
「.........」
「化粧で人柄って変わるもんなのかねェ」
「.........うるさいですよ」

私のハンバーグ食べたんだから帰ればいいのに、恨みがましく睨みつけても全然ヘッチャラらしい彼は次に出て来るものも待ってるらしい。帰る様子が微塵にも感じられない。それどころかデッカイ図体で人の傍にいて、

「化粧美人の補佐殿はしっかり者、スッピン美人のベレッタは可愛いコ。おれはどっちも好みだなァ」

どうでもいいこと言ってる。
こんなこと思ったらダメだとは思うけど、死ねばいいのに、だ。何処ぞの強い海賊にでもやられてしまえばいいのにと真剣に思ってしまう。私にその力があれば...切断してやるのに、とも思ってしまう。

「あらら、反応なし?」
「.........もう、そっちに座ってて下さい。邪魔ですから」

お腹すいた。エネルギー切れかけ。パワー出ない。元気も出ない。反応するのもキツい。言い返すのもダルい。
いつも以上に時間を掛けて野菜を切ってるのは落ち込みすぎてどうしようもないから。もう、本当にやる気ない。適当に切ったもの、これはシチューにして煮込んじゃえと思いながら手探り探すはそこそこ大きな鍋。適当に水張って火に掛けて...と。

溜め息吐きながら作業をしてる最中、相変わらずデッカイ図体がこっちの言うことも聞かずに横にいる。

「怒ってる?」
「.........どうでしょう」
「その顔見るのも初めてだ」
「.........良かったですね」

もう返事も適当になって来た。肯定してるのか否定してるのかも分からない。
聞こえる声もうまく咀嚼出来ずに脳内に流し込むだけ、この言葉の意味なんて理解なんか出来てない。

「ベレッタって、不思議なコだね」

不思議、不思議か...私からすれば今が不思議。お腹空いた。

「色んな顔を持ってて全部魅力的ってどうなのよ」
「.........はあ」
「え、おれ、真面目に言ってるんだけど」

なんで二度目の夕飯作ってるのか、とか真面目に不思議に思う。お腹空いた。

「真面目に、口説きたいんだけどなァ...どうだろ」
「私もうお腹空きすぎてソレどころじゃない」

ほんとに、ゲロ吐きそうなくらいお腹空いた。
ここまで来るのは久しぶりすぎて昔はどんな対策をしてたか思い出せない。辺境地のパトロールしてた時は...適当なものを食べたんだっけ?いや、持ってたものを食べたんだっけ?とにかく、何かを口にしたような、

「じゃあ、お腹いっぱいになったら考えてくれるかい?」

.........お腹、空いた。

「お腹いっぱいになりたい...」
「あらららら、やだこの子ってばマジで可愛いんだけど」

何か物凄く泣きたい。空腹、辛すぎる。
真横の何かが妙にウザいけど空腹に耐えながらシチューを煮込む。時々、背中に張り付く何かも感じるけどそれどころじゃない。お腹空くとほんとダメだ、思考回路がどっか飛んでしまう。でもお腹空いてるのだけ分かる...

「ねェ、お皿出しとく?」
「.........出して」
「勝手に食器棚とか開けるよ?」
「.........お願い」

お腹、痛すぎてどんどん前のめりになってく自分。シチューをかき混ぜながら痛みに堪える。
そんな最中にデッカイ図体が準備してくれるのは助かる...無駄に動かなくて済むから。でも、私、誰に頼みごとしたんだっけ。

「そろそろお野菜も煮えたんじゃない?」
「.........か、な?」
「後はおれが準備したげるから座ってなよ」
「.........う、ん」

痛い痛い痛い。究極にお腹空きすぎて痛い。
横っ腹押さえながら移動してる時もお腹がきゅるきゅる鳴ってて死にそう。燃費いいんだか悪いんだか分からないお腹を押さえて定位置に座ると、デッカイ図体がそこそこのお鍋を持って来てくれた。で、よそってくれた。

「い、ただき、ます、」
「どーぞ、っておれが言っちゃダメか」

ふーふーしながら口に運んだ一口。うん、美味しい。ようやく食べれた、ご飯。

「美味しい?」
「うん」
「じゃ、おれも頂いちゃおうかな?」
「うん」


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