「今からおれらとセトの違いについて考えてみようと思う」

......此処に死んでも治りそうもない馬鹿が居るよい｡

「新参クルーがナースに囲まれることは過去に何度もあった｡エース､お前もそうだったな」
「おう｡数分で飽きられた！」
「よし！！」

何がよし！！なのか､さっぱり分からんよいサッチ｡
事の始まりはセトたちを歓迎する宴でのこと｡簡単に言えばセトが過去最長1時間も捕まったことにある｡
ついでにその日のうちに(ナースたちに無理やり)約束を取り付け(られ)､翌日には(無理やり連行されて)密会を行った｡呼び名は「姐さん」と堅いが只ならぬ関係を一夜にして築いてしまった｡これにサッチを始めとする野郎共が騒いでるって話だ｡

「さて､おれらとセトの違いは何だ？」


1. 年齢｡若い｡エースくらいらしい｡
2. 容姿｡身長低い､小顔､小さい､幼い､可愛い｡


「"可愛い"って言ったのは誰だよい！？」
「あ､おれ」
「ジョズ！？おめェ変態かい！」
「あ､おれもセトは可愛いと思う」
「黙れエース」
「......よし､続けるぞ」


3. 性格｡律儀､生意気､面倒見が良い､子供を可愛がる､多少母親寄り｡
4. 行動｡雑用､気が利く､口悪い､小食､可愛い｡


「またか！誰が"可愛い"って......サッチ､お前かい！！無駄に挙手せんでいいよい！」
「おれもセトの行動は可愛いと思う｡てか､笑うと可愛い」
「！？アイツ笑うのか？」
「おう｡シンとエアの寝顔見て優しく笑ってた」
「れ､レアいぞ！？」
「だあ！！何の話になってんだ！？論点ズレてるよい！！」

一夜にしてナースたちと異様に仲良さげになってて悔しいって話じゃなかったんかい！
この船に居る女はナースだけ(エアは対象から外す)｡残りは全員男で出来たら美人揃いのナースと色恋沙汰になりたいって､そういうことからセトに嫉妬して違いを見つけ出して...自分を改善しようじゃないかって話じゃねえのかよい！

「確かにズレた｡おれが悪い」
「......気付いたならいい」
「けどお前もセトを可愛がってるじゃねェかマルコ」
「おれは仲間として可愛がってもてめェらみたいに変質的な目で見てないよい！！」

可愛い可愛いって､可愛いって言うには獰猛すぎんだろい｡

「じゃあ､その他意見は......はい､ジョズ！」
「子供に優しい」
「そうだな｡子供だけには優しいな｡では次......はい､エース！」
「泣き顔が可愛い」
「な､泣き顔...だと！？見たのかエース！！」
「見た！可愛かった｡なァマルコ」
「おれに振るな！」
「レアすぎだろお！！」
「黙れ！！」

何の話になってんだよい！セトが可愛い可愛いって...どんだけ可愛い扱いだよい！

「.........なあ」
「何だイゾウ｡意見は挙手で」

挙手する意味が分からねえよい｡

「ナースたちもお前らと同じ気持ちでただセトが可愛いだけじゃねェか？」


――恋愛感情抜きで､何か「妹」出来たみたいな感覚で｡


「......そこは"弟"じゃなくてかい？」
「あの目は"妹"の感覚に近いと思う」


別にどっちでも構わねェが､とりあえずサッチとジョズ､エースは危険だと思った｡


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