EVENT | ナノ



と、いうことで。
マルコさんと意味なく歩き始めて数分が経過しています。ええ、何でしょうね...重い空気です。組体操で土台やってるレベルとかじゃないです。重力的なカンジで重いです。ビックリします。

「えっと...マルコさんとお呼びしていいですか?」
「.........あァ」

これは...色々終了フラグ、ですか?
どうもデートというよりは引率の先生的な雰囲気の彼は子供のお遊びに付き合わされてるってカンジだ。ほら、修学旅行の引率の先生って全然旅行楽しめてなくて打ち上げでハッスルするんだってさ。彼はどうもそんなのみたいだ。

「あの...」
「何だい?」
「.........いえ、何も」

き、聞けない...
意気地なしと言われても聞けないです。何でこのゲームに参加されたんですか、なんて。

「.........気晴らし」
「え?」
「悪ィな。気晴らしに付き合わせて」

エスパー!!?

「.........顔に出やすいなァJK」
「.........よく言われます。で、私はJKではなくベレッタです」
「さっき聞いたから知ってるよい」
「成程...まあJKでいいです」

アレだ。この人、意外と意地悪な人なんだろう。
てか、知っても慣れ合うつもりはないという判断なのかもしれない。そりゃそうだ。一度会ったら友達で、毎日会ったら兄妹さ〜な精神は私にもない。でも折角知り合えたわけだし出会いくらいは大事にして良さそうなものだけどなあ。愛と勇気だけが友達なのかしら。

「なァ」
「あ、はい」
「最近のJKは何で気晴らしする?」

今の「最近の」にとてつもなく嫌味が含まれてたような気がするけどスルーしよう。
気晴らし...気晴らしと言えば「大人の説教なんざクソ喰らえだ!」「勉強とか進んで出来るか!」「提出期限とか知るか!」「リア充爆発しろ!」とか思ったり口にしたりしながら友達と練り歩く行為ですよね私たちにとっては。つまり、

「.........カラオケ、とか?」
「ふーん」
「叫ぶのってスッキリしますよ」

上手に歌う、可愛く歌う、ただひたすら絶叫する。
一緒に行く相手によって変わって来るけど基本、私は三番目。意味不明な単語を連呼する派だったりする。それによって素敵に鮮やかにスカッとするんだよね。聴いてる方は...脳が揺れるらしいけど。

「あー......却下」
「却下!?人に聞いといて!?」

こんなアッサリな却下があるかよい!
.........って、口調移った。独特な方言なのかな。語尾に「い」が付くの。

「聞いただけだよい。他は?」
「他!?えっと...愚痴る、とか?」
「あァ...それはJKに関わらずオンナはそうだよなァ」
「何と!というより気晴らし方法を模索されてるんですか?」
「折角だからねい」

.........おおう。何か面白いクジ引いたよ私。
けど、なーんか興味あるなあこの人。気晴らししたいくらい気の張った生活でもしてるんだろうか。まあ、大学生だったら高校生よりまっとうに悩んだりするもんだろうなあ。ウチら、ほんとにどうでもいいことでグチグチしてるもんなあ。

って、この人アレだ。悩んでるんだ。

「分かりました!とことん聞きますよ愚痴!」
「.........はァ?」

わざわざ気晴らし方法を聞くくらいだから相当悩んでるんだ。禿げそうなくらい悩んでるんだ。それは良くない、非常に良くないですよ!

「JKを舐めないで下さい!ちゃんとお話を聞いて噛み砕くことくらい出来ますよ!」

とは言っても意見も反論も賛同もしかねますので悪しからず!
聞くだけだったらお友達でもいいとは思うけど、近くの人に言えないことだってきっとあるはず。だったらナイスタイミングで此処にいる私とかバッチリですよ。グッドタイミーング!

「.........何興奮してんだ?」
「興味ほん!あ、じゃなかった!気晴らしですよ気晴らし!マルコさんの!!」
「.........興味本位ねい」
「べ、別にいいじゃないですか!もう二度と会えないJKですよ!さあ愚痴りましょう!!」

あ、でもコンビニでジュースとかお菓子とか買ってから!
やっぱ食べながらじゃないと愚痴り大会は盛り上がらないですからね。ただ口元は注意です。よく友達は興奮しすぎて口ポロしまくりですから。私も然りですが。

「さあさあ準備しましょう!準備して愚痴りましょう!」
「.........何の準備」
「愚痴フェスです!」

お祭り沙汰かい...と溜め息を吐くマルコさんを余所に私はウキウキしながら周囲を見渡す。で、丁度いいトコにコンビニ発見。何となく唐揚げとか食べたい気分だけどそこは伏せておこう。

「さあさあ、そこのコンビニに行きますよ!!」
「.........はァ。まァ安上がりで安心したよい」
「は?」
「いいや、こっちの話」

あまり乗り気でない様子ではあるけど何かを諦めた様子も醸し出しているマルコさんの背を押しながら、私は何処かわくわくした気持ちで準備へと取り掛かったのだった。支払いは全てマルコさんで。


(25/28)
[ 戻る付箋 ]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -