空腹胃酸
「お腹空いたあ…」
「は?」
「だーかーらーお腹空いたー」
……それ、デートの途中で言うか?
しかもついさっき昼奢ったばっかりじゃん。マックでいいって言うからとりあえずマック行ってさ。で、結構食べたと思うけど…違うのか?
「よく食うなあ」
「育ちざかりです」
育ちざかりって…
成長期終わってねえの?一般女子の成長期は大体中学で終わるって聞いたぞ。もう中学卒業したじゃん俺ら。まだ成長期なのか?
「……しゃーないな。何か食うか?」
とは言っても俺はもう食べないけど。さっき結構食べたし…って彼女も結構食べてたと思うんだが。まさかまだ食べ足りないとか言われると思ってなかったな。目をきらきらさせてるとこを見るとやっぱ何か欲しいみたいだ。
「何がいい?」
「タコヤキ」
……空腹満たすのにタコヤキ?
1パックにつき10個入が相場で大体300円くらい。空腹満たす量としては足りなくないか?
「いや、だから…」
「タコヤキ。ダメ?」
上目遣い…上目遣い!
いかん、俺、コイツのこういうのに弱い。
「……分かった。タコヤキな」
「わーい」
そう、いつもこのテだ。
究極の武器で以って甘える戦略。
分かっていても拒絶出来ない自分がいるんだ。
「何パックでも奢ってやるよ」
「有難う」
嬉しそうに笑って美味しそうに食べて。特に飾らず自然のままで居てくれる彼女。だから苦笑しつつも「好き」だと思える。
そんな可愛い彼女は俺だけのもの。
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