NOVEL GAME γ | ナノ

if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
不二先輩に伯爵の居場所を聞いて、長い螺旋階段を歩く。
今にも壊れそうな階段、気味の悪い音…
とりあえず、一歩一歩確実に前へと進むべく歩いた。

「……ボロボロ」

階段幅は広くない、高さも高くない。
それなのに長い長い螺旋階段に嫌気が差す。
螺旋階段の下は玄関ホール。
そのホールに手塚部長の姿が見当たらない。

この場合は…アレ。こーんなコトしても良いわよね?
手荒ではあるけども、一番最速で登ってしまう方法はただ一つ。
キョロっと見渡して誰もいないことを確認。
私は大きく深呼吸、気合を溜め込んで息を飲んだ。

「では…やりますか!」

レッツ、二段飛ばし!
いっそ、三段飛ばし!





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
「レッツで三段飛ばし!」

かなり大股にはなるけれど、軽やかに足が運ぶ。
手塚部長が見ていたら…グラウンドもの?
だけど、下の方に部長の姿はなかったわけで問題ナシ!

ギシギシと音を立てる螺旋階段…
次第にギシギシがミシミシへと変わっている気がする。
ギシギシ…ミシミシ…ッ

「……ぎゃッ」

ボッコシ階段に穴が空いた。体重移動先は…その穴。
登った分だけ高くなった階段の上から、一気に落下していく…
と、歯を食い縛ったものの、待てども衝撃はない。

「……?」

目を開けてみる





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
痛みが来るはずもない。私は浮いている。
違う…黒いものが私を抱いて、それが浮いている。
漆黒の髪に赤い目をした…

「切原赤也…ッ?」
「知らない仲でもないのに晩餐に俺を呼ばないんだ」
「な、何…?」
「退屈凌ぎに一人ずつ潰しちゃおうかな」

充血し切った目、この言葉が冗談の範囲でないことを察する。
むしろ、変な羽根で浮いてることを説明して欲しい!
続々と各部屋から人が集まり出して…見上げている。

「招かざる客がいるな…」
「あ、人数多すぎ」

晩餐ですから…って、見てないで助けて。下の皆さん!

助けを求める





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
「ちょ…助けて下さい!」

助けを求めてみるも反応はイマイチない。
この人たち…いざという時に仲間を見殺しにするタイプ?
悠長にそんなコトを考えてる暇なんかない!

「お、下ろして…」
「ダメダメ。人数多いから一緒に撤収だよ」
「はぁ?私まだ何も食べてな――…」
「ではでは、皆さん。失礼します」

真っ暗な闇が覆う、風だけが私の体に触れて。
何が何なのかわからぬままに、連れ攫われて……
目が覚めた時、私はまた漆黒の扉の前にいた。

★エンディング3/3

戻る
始めに戻る
別の物語に移動する





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
「レッツで二段飛ばし!」

少しだけ大股にはなるけれど、軽やかに足が運ぶ。
螺旋階段だから登りにくくはあるけど…
どんどんスピードに乗って螺旋階段の頂上、扉が見えてきた。
今までの部屋とは違う、二部屋分を利用して出来てそうな…
とにかく大きな扉の前へと私は辿り着いた。

「ほぇー…」

萎縮してしまっている。その扉の前に。
古く不気味な洋館なのに、ここだけは綺麗な装飾。
まだ見ぬ伯爵の姿…一体誰がいるというのか。

海堂先輩か、乾先輩か…
どちらにしても不安要素満載。どちらを見ても怖い…
大きく深呼吸して、その扉に手を掛けた。

いざ、奥の間へ





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
「ようこそ。私が伯爵だ」

部屋の奥の椅子に座っている…乾先輩。
ああ…やっぱり。だけど、乾先輩が伯爵とは…驚き。
しかも、その傍に包帯衣装の海堂先輩の姿。
貴重な海堂先輩のコスプレ姿…本当にカメラがなくて残念。

「あの…」
「月夜の晩餐に呼ばれし人の子」
「……はぁ」
「この月に捕らわれぬよう、気を付けるといい」

おっしゃりたいことが意味不明なんですけど…
と、いいますか…何の演劇に巻き込まれているのか。
今更ながら、そんなコトに首を傾げてしまう。

とりあえず…話でもするかな?

伯爵らしき乾先輩と
包帯コスの海堂先輩と





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
「あの…乾先輩?」
「伯爵と呼んでもらおう」
「はぁ…」

あくまで伯爵と呼ばれたいらしい。
それはさておき、この晩餐の意味を聞きたい。
なぜ、私が呼ばれたのか…なんかも。

「えっと…今回の晩餐について…」
「この時期、月夜が綺麗だからだ」
「はぁ…じゃあ、なぜ私も…」
「客人は多い方がいい」
「はぁ…」

うーん…意図が読めない。だけど聞けない。
私にとって、手塚部長と同じくらい威圧感がある人だし…
むしろ、先輩の作った変なモノは飲みたくないし。

包帯コスの海堂先輩と
玄関ホールへ戻る





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
「あの…海堂先輩?」
「……」

返答も反応もなし。
元々、口の重い人だとは思っていたけど…
こうも反応がないと余計に怖いんですけど。

「変わった衣装ですね」
「……」
「包帯、いくつ使用してるんでしょうね…」

着脱が難しいそうな包帯の服。
微妙に巻きスカート調になっていることに気付く。
不二先輩同様に…スカートですか?
いやいや…下に包帯の短パンを履いていらっしゃる。

……思わず、ガン見してしまった。

伯爵らしき乾先輩と
玄関ホールへ戻る





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
玄関ホールに戻ると、手塚部長はホールの隅に立っていた。
いつもの無表情で、だけどいつもと違う服装だから…
かなり強度の緊張感を無意識に与えられていた。

「晩餐の準備が整いました」

強制的に移動させられたけど、どうやら準備が出来たらしい。
結局、部長が晩餐の準備したのかは不明だけど…
とりあえず、部長の方へと近づいてみる。

「立食となっておりますので、裏庭までお願いします」
「あ…はぁ」
「ごゆっくりお楽しみ下さいませ」

各部屋から色々な人が出てきて、横を通り過ぎていく。
徐々に理解し始めたこの状況…だけど、何が何だかはわからない。
結局は流れるがままに私も裏庭の方向へと移動させられた。

裏庭へ移動する





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客
裏庭はバラに囲まれた場所だった。
設置されたテーブルには数々のカボチャ料理が並べられていた。
その時にようやく、今日がハロウィンだと気付く。

異色な姿をしたメンバーの中、私は少し離れた場所へ。
並べられたものはカボチャばかり、それに不満でもあるのか…
次第に視線が此方に流れてくるのがわかる。

「……あの子、美味しそうだよね」

誰かの放った言葉に危機感を覚え…目が覚めた。
寝汗を掻いて起きた私はカレンダーを眺める。
10月31日…今日が夢に見たハロウィンの当日だった。
まさか、まさか…だよね?

★エンディング2/3

戻る
始めに戻る
別の物語に移動する





















if...の扉 #10

青春学園/招かざる客

ここはリンク調整のために改行処理しています。
同一ページを移動するようリンクを組み込んでおり、その事に気付かれないように努力しているだけで意味はありません。