NOVEL GAME γ | ナノ

if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
【2F 左の部屋・物置】

……物置、かしら此処。色んな家具やらが丁寧に収められてるんですけど。
で、ちょっと悪趣味な宝物的な?並べられた彫刻、絵画なんか本気で怖いですわ。
何て言ったらいいか、そう、音楽室の肖像画とか美術室の作品たちが一斉にこっちを見てるような――…

「オイ」
「ぎゃあ!!」
「っ…うるさいのが来ましたね」

ビックリしすぎて声が大になっちゃったわよ。てか、うっさくなったのは驚かしたアンタたちの所為…って、
何だ宍戸と日吉じゃん驚かすなよ……ん?なーんか、二人とも異様にモッコモコ着膨れしてるなあ。服はまあ他所行きだけど。
でもそんな着膨れよりも遥かに気になる点があるわね。

「……ねえ」
「何だよ」
「ソレ、何」

普通っちゃ普通の格好をしてる宍戸だけど、なーんか違和感のあるアクセが付いてる。
ほら、今年流行りのファーのアクセ。腰のとこからブラ下げて「あらやだ可愛い」みたいなの。それが付いてる…

「ついでに突っ込むけどアンタ」
「……俺、ですか?」
「そうよ。何、その髪からふわりと出たヤツ」

ファーアクセ宍戸よりも更に違和感があるのは日吉の方。
こっちはしれっとカチューシャでも付けてんのかな?サラサラヘアーの隙間から猫耳出てる…
二人ともアレか?女性受け狙いで可愛さアピールでもしてんのかな?いや、彼らに限ってそれは…ねえ。
色々考えるけど肝心な二人からは何の言葉も返って来ない。と、なると――…

日吉の猫耳カチューシャを触る。
宍戸のファーアクセを引っ張る。





















if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
「イテッ!な、何しやがる!」
「……ごめん、痛かった?」
「当たり前だろ!」

……何ゆえに当たり前なんだ?
そう思ってよくよく眺めてみれば宍戸の付けてたファーアクセ、サイドからじゃなくて…変なトコから出てる。
何て言うの?それこそ尻尾的なところからフッサーと生えてるみたいな風に見えるんですけど。

「……自前?」
「ああ?寝ぼけてんのか?それこそ当たり前だろ!」

いえ、全然当たり前とかじゃないですから。ってことは…日吉の頭上にあるモノも「当たり前」なヤツ?
尻尾的なのを引っ張られて痛がってる宍戸はさておき、猫耳付きの日吉をジッと眺めれば自分は触らせないと威嚇された。
いや待てよ。尻尾宍戸と猫耳日吉…ってことは、宍戸にも猫耳があって日吉にも尻尾があるってことだったりして。
そう考えると当たり前のように帽子をかぶっている宍戸にとてつもない違和感が出て、ソロリと背後に回って――…

「うりゃ!」
「のあ!な、何しやがる!」
「あ、やっぱあったか…」

帽子の下、日吉と同じような立派な猫耳が付いておりました。で、勝手ながら触らせて頂いて…

「ふわふわだー」
「触るな!」
「えー触りたいし」

反射的に避けて逃げようとする宍戸を私もまた反射的に追いかけて。
あとちょいで耳に触れるー…ってとこでゴンッ!と手に衝撃が走ってハッと目を覚ませば、私の部屋の天井が見えた。
え?何の夢オチだよ、と起き上がった私は不意にベッドサイドのカレンダーを眺めた。
10月31日…今日はハロウィン。うーん…宍戸がにゃんコスでもしてやって来るんだろうか?

★エンディングNo.08

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if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
「うりゃ!あ、避けた!」
「気安く触らないで下さい」

すげえ反射神経だ。さすが次期部長候補の日吉だ。
つーか、触られたくなかったらこれ見よがしに晒すなって話なんですけど。

「ついでですからさっさと別の場所に行って下さい」
「うわ、冷たいなあ」
「あなたでは戦力になりそうもないんでさっさと散って」
「……戦力?」

え?何か戦力を必要とすることでもするわけ?

「そうです。この屋敷にはどうも不可解なことがあって――…」

のお!怪奇現象的なこと!?ちょっと私その辺は得意としないジャンルなんですけど!
そうなんだよね、この屋敷に入った時から何か良からぬ負のオーラを感じて怖かったんだよ!灯り点かないし。

「大体、この屋敷は――…」
「それ以上、言わんどって!!」

即刻離脱せねば!ちょっと不可解な方言出ちゃったけどそこはもう問題じゃない!
余計な怪談話を聞く前に私はダッシュでエントランスへと戻った。

エントランスへ





















if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
【2F 中央の部屋・客室】

ここは客室みたいね、凄く素敵……って言いたいところだけど。

「スイカー!」
「か、カボチャ!」

何か凄いのが居ます。もう何が何だか分からないほどに凄いのが居ます。

「喰らえ、ヤシの実!」
「負けるか!ミミガー!!」
「が、があ?」

……しりとりをしてるのは分かるけど、その度にソレを出現させてる連中が居ます。
言葉と落下音のコラボとでも言いましょうか…って、ドドドド上方からめちゃくちゃ降って来てる!!
何だ、何だコイツら!!魔女コスプレイヤーか!?ってよく見たら…平古場と甲斐っぽい。
飛び交う単語のイントネーションが少し変だなあ、とは思っていたけど彼らなら納得だわ。
但し、彼らが発した単語が物として散乱してるのには納得してないけどね!!(半ば錯乱)

「あった!いくぜ!ガーリッ――…」
「ちょっと待ったあ!!」

ミミガーからガーリックとしりとりが続く件に関しては問題ない。問題なのは、この場にガーリックが出て来るのでは?ということ。
結構広い部屋ではあるけど無数のガーリックなんぞ万が一出て来ちゃった日には臭くてたまんない!
服に匂いが付いても困る!その最悪の事態は断固として阻止せねばならんわ!

「待て待て待てい!」
「あー?何だやーは」
「邪魔やっし。あっち行け」
「そうはいかないわよ」

足元に転がってる物たちに気を付けながら彼らに近づけば、邪魔されたのが嫌だったのか睨んで来る。
うっ、と怯みそうになるけどここで負けたら終わりだ。ガーリック地獄到来だ。ここは絶対屈しない姿勢をしなくては!

「大体ね、アンタたち――…」

彼らが納得する言葉を投げ掛けよう。
この部屋に臭くてどうしようもないガーリック(でも美味い)という単語を言わせないためには…この説明しかない!

ガーリックなんぞ出した日には――…
よく考えろ!ソレ、しりとりになってないじゃん!





















if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
「臭くて圧迫死するだろうが!!」

ニンニクの恐ろしさを知らんのかコイツら。もぎたて新鮮なヤツがどれほど臭いか…
あ、ウチの近所に家庭菜園してるお家があって、そこの奥様が超が付くほどのニンニク好きで育ててる。
いやね、このご時世だし自給自足は良いことだと思うよ?でも収穫時にその周辺が臭くて臭くて。
それを気付いててかどうかは知らないけど「いつもすみません」とか言いながらソレをお裾分けに来るのよ。
新鮮、採れたて、食べると激ウマには違いないけど…でも臭いわけよ!市販の二倍とは言わないわアレ!
そんな実体験を踏まえた上で拒否ってるわけよ。分かる?いやむしろ分かれ!

「……やー、んなことで男の勝負に水差したんか?」
「そんなことじゃない!大事なことよ!」

逆に、そんな下らないしりとりが男の勝負にしてることの方がおかしいよ!

「どーすっかなー」
「アレだ。しりとりの続き、ソレでやろうぜ」
「あー…そうだな。邪魔されなくなるし」

……おや?何か雰囲気的に雲行きが怪しいナリ。
そ、そこまでの真剣勝負だったなんて私知らなかったのよ?でもニンニクは出して欲しくなかったし…

「やーが臭いものになっちまえ!」

ぎゃあ!そ、それだけは勘弁!!私臭いものになるの!?
杖を振りかざす平古場を目の前に逃げることも避けることも出来なくなって――…

「臭いのはヤダー!!……って、」

ハッと目を覚ませば、見覚えある空が、見えた。てか…私の部屋の、天井?
寝汗をふんだんに掻いて起き上がった私は不意にベッドサイドのカレンダーを眺めた。
10月31日…今日はハロウィン、じゃん。まさか…何かの暗示なんかじゃない、よね?

★エンディングNo.07

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if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
「……はあ?」
「ガーリックって洋語よ洋語。ここはニンニクが正解でしょうが!」

……く、苦しかったかしら、この言い訳。
でも間違っちゃないわよ。ガーリックって洋語だもん(多分)。正式にはニンニクだもん(おそらく)。
と、かなり苦しいことを言った私に対して二人は…というと、何やら真剣な顔をして双方共に考え込んでる。
うん、これはもしかすると効果アリアリだったりするかもしれない。

「ウコンのことをわざわざターメリックとか言う?」
「……いや」
「でしょ?"ウコンの力"が"ターメリックの力"になっちゃうんだよ」

まあ、そんなこと関係ないんですけどね!
とにかく苦し紛れでも彼らの暴走を止めることが出来れば私の勝ちなわけだから何でもいい。
そう思っていれば不意に考えるのが嫌になったのか平古場がフッと笑って甲斐の方を向いた。

「……やーはどう思う?」
「無理やりじゃね?」
「だよなー」

……ん?

「いくぜ!ガーリック!!」

ぎゃっ!止められなかった!!
散らばるスイカやらカボチャやらの上から襲い来るニンニクの束が見えた瞬間、広がるはアノ匂い!
このままじゃ匂いが沁み込んじゃう!私は慌ててエントランスへと戻った。

エントランスへ





















if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
【2F 左の部屋・客室】

んーここって客室っぽいわね。
何て言うの、ほら、ホラーゲームとかで良くある無駄にクローゼットを配置した個室みたいな。
で、どっかにドレッサーなんかがあって鏡が妙に気持ち悪くって、で…手が伸びて来てギャッ!みたいな。

「お、お客さん来たで」
「……っ」

こ、この部屋の先客組み合わせ最悪!白石に仁王に氷帝の方の忍足!?
うーわーメンバーもさることながら何その衣装…タチの悪いエロゲーのキャラじゃないんだからさ、規制して下さいよ規制!
どうした時にそんな包帯グルグルな衣装とか着れるのよ。まあ…ちょっとバラけた上着の裾とブーツちっくな靴の仕様は可愛いけど。
でも断ろうよ!そんな服着て人様の前に出るなんざ私耐えられないわ!

「珍し。女の子ぜよ」
「おお、ほんまや。しかも変な服」
「オイオイ。それ、思うとっても言うたるなや」

変!?これ、ガッコの制服なんですけど!てか、そっちでゴソゴソ言ってるイントネーションの方がよっぽど変だよ!
何処の人の団体よ…って、え?何ゆえにボロボロのクローゼットに向かってるのよ仁王は。で、何が「パスはMIR」なのよ白石。
そのオンボロクローゼットに何の用があるってんだ!

「おーあったあった」
「!?」

何か、白いモノを手にしてる。布、切れってことだけは分かるんですけども、ねえ。

「これに着替えるとええ」
「な、何ですとー!!?」

セクハラじゃい!セクハラ!!その衣装、アンタたちと同じエロゲキャラ服じゃん!着れるかボケが!!
そのテのコス服着て許されるのは麗しくも素敵なレイヤーさんだけじゃろーが!!
私はそのテのレイヤーでも無いし、麗しくもないし、とにかく無理無理無理!マジで…どうしてくれようか。

二度と着れないようにズタズタにしまくる
一応受け取っていきなし窓から投げる





















if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
「こんなもの!こうして、こうして、こう――…!」

基はただの包帯です。ちょっとした指の力でズタズタになることくらい分かってた。
容赦なく裂いて裂いて裂きまくって。バラバラに散らばる白い布にちょっぴりホッとしてみたり。
だってこんなもの着たくないし、絶対着たくないし、むしろ着たくないし!(とにかく着たくない)
私がビリビリと破っている姿を見ていた三人はとにかく絶句して放心状態だったけど構わずズタズタにした私。
再起不能まで追い込んでようやく床に全てを捨て終わった頃、三人が急に息を吹き返した。

「な、なんちゅうことを!」
「唯一の女性用じゃったのに」

知りません。破り捨ててやりました。

「……オイ、アレや」
「そうじゃのう。もうアレしかないじゃろ」

……アレ?

「しゃーないわ。アレやったらその後、剥製にしやすいしな」
「アレはお前しか出来ひんし、まあ任せるわ」
「オーケー。こんなん一瞬でエンドや」

え?何よ白石。わ、私は金ちゃんじゃないから信じてないわよ、その包帯の下が毒手だなんて。
で、でも何だろう…この威圧感。そして…な、何か解き掛かってる包帯の下から妙な煙が発生してるような…

「ちょっ、マジか!?……って、」

ハッと目を覚ませば、見覚えある空が、見えた。てか…私の部屋の、天井?
寝汗をふんだんに掻いて起き上がった私は不意にベッドサイドのカレンダーを眺めた。
10月31日…今日はハロウィン、じゃん。まさか…何かの暗示なんかじゃない、よね?

★エンディングNo.04

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if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊
「どりゃあ!!」

にっこり微笑んで受け取りはした。そしてそのまま窓際、いきなし放ってやりました。
だーれがこんな服着るかボケ!!こんなもんポイッと捨てるに決まってんだろうが!!
ひらひらと舞い降りていく包帯の服、どうやら外は裏庭みたい。凄く綺麗な薔薇の花が咲いてる。
ちょっぴり不法投棄した気持ちになって申し訳ないけど、だけど今となっては後の祭り――…

「あー!いーけないんだー!」
「……ジロちゃん?」

嘘…窓の外、私と同じ目線にジロちゃんが立ってます。え?立ってます。
出窓でもバルコニーでもない、単なる窓の外にジロちゃんが難なく立ってます。てか…宙に浮いてる!?

「ちょっ、ジロちゃん!危な――…」
「いーけないんだー!ゴミをポイポイしちゃいけないんだー」
「いや、今、そういう問題じゃなくてやね!」
「そーゆー悪い子は――…お菓子にしちゃえー」

何処から出したのか、急に可愛らしい杖を手にしたジロちゃんがキラキラと光を私に降り注いだ。
暗い屋敷の中でのそのキラキラは綺麗だと思ったけど…急に体が硬直して動かなくなったっ!?

「チョコレート完成ー。皆で食べようよー」

ちょ、チョコレート!?嘘嘘!と体を動かそうとしても動かない!
にこにこと笑ってるジロちゃんが徐々に迫って来てるのが分かってて動けないって――…

「出来ればケーキが良かった!!……って、」

ハッと目を覚ませば、見覚えある空が、見えた。てか…私の部屋の、天井?
寝汗をふんだんに掻いて起き上がった私は不意にベッドサイドのカレンダーを眺めた。
10月31日…今日はハロウィン、じゃん。まさか…何かの暗示なんかじゃない、よね?

★エンディングNo.05

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if...の扉 #10

アトランダム/迷える子羊

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