テニスの王子様 [DREAM] | ナノ

究極の運試しだと思ってたのに、冷静に解析された…っ。
このことを知念に話したら「運試しすんならプラスであっち向いてホイを入れるべきだったなあ」って言われた。
……確かに、その通りだと思った。悔しいけど。悔しいけどっ!




生意気な彼女 〜大人面




何とも言えないあの面歪ませたくて敢えてフッたネタで反撃に遭った私。
じゃんけん如きに強いも弱いもないと思ってたのは大きな間違いだと気付くのが遅すぎた。

「くっそー余計ストレス蓄積した!」
「おー木手はすっげえ穏やかにテニスしてたさー」
「知らんよ。てか、知念がもうちょい早くプラス部分を言ってくれときゃフルぼっこ出来たのに…」
「それこそ知らねえし」

たまたま廊下で見つけた知念をエサ(嫌がらせで苺オーレにしてやったわ)で釣って話聞いてもらってるけど、何かスッキリしない。
ついでに平古場でも殴っとくかーとかも思ったけど、アイツ、私の顔を見るなり逃げ出しちゃって捕まえらんなかったし。
あの様子だと相当な威圧を掛けられたんだろうな…木手に。それに屈する平古場もどうよ。

「てか、なーんでそこまで木手拒否すっかなー」
「はあ?だってアイツ、のっけから見下した目してたんだよ?」
「……そりゃ目が悪いから、じゃね?」
「いや違うね。プラスして偉そうにしててさ」

あー思い出しただけでも腹が立つ。
今年の春、木手と同じクラスになった初日のこと。ヤツは私を見るなりいきなし一言。
「その髪の色、規則に反していますね。元に戻しなさいな」って。アンタ教師か!担任か!むしろ校長か!?
風紀委員でもないのにいきなし髪の色指摘?つーか、コレ地毛でちゃんと保護者の認定書?みたいなの提出したし!
え?アンタの許可もいるわけ?てか何様?つーか、お前の頭はワックスで押え過ぎじゃん!と、まあ…初日から不愉快になったのでした。
それが木手永四郎を真っ先に覚えた理由。そして、本気で拒否する理由。

「あー確かにお前の髪、すっげえ色だよな」
「……メッシュに言われたかない」
「これは勝手にやられただけさー本意じゃねし」
「私だって違うし」

髪の色が違う、変わってるうんぬんでは入学当初…いや、昔から色々あって触れられたくないとこだった。
この色が嫌いってわけでもないけど、皆と同じ純黒なら純黒で良かった。同じなら何も言われずに済んだわけだから。

「てか、ソレちょい凛に似てね?」
「……はあ?」
「色もそうだけど髪質も…伸ばしたら似合うと思うぜ?」
「勘弁。平古場に似たら自分格下げになる」
「……何気にひでえな」

いや、酷くないし。平古場あたりならその程度で十分の格付けだし。私>平古場で十分。
あーもう、その辺のこと思い出したらまたじゃんけん負けた屈辱を思い出す…アイツ、その髪に休み時間いっぱい触りやがった!
散々触った挙句、こっちが嫌味言ったにも関わらず気にした様子もなく「触れたいと思うのは貴女だけですから」とか…

「ナンパ師かっ!」
「はあ?」
「知念!私、あの面歪ませたい!」
「……ああ、木手の話か」
「そうよ。あの面、歪ませたい!」

年齢不祥、中学生にあるまじき冷静な顔、大人面もイイとこのあの面…ボッコボコにして年相応にしてやりたい。
そしたらジッと見られたところで不愉快な思いもしないし、逆にプッて吹き出すことも可能で…いや、もう吹き出すし万事オーライじゃない。
ただ、まかり間違って授業中に吹いた日には大変なことになるけど、少なくとも不愉快さは無くなるはず。ねえ、そうでしょ?知念!

「……もう十分、歪ませてるさ」
「はあ?」
「お前居ないとこで木手はじゅーぶん破顔しとーさ」
「……どういう意味?」

ワケ分かんない一言に疑問がぶわっとなったんだけど。破顔してるんだったら写メ撮っとけって。
一体、どんな時にどんなカンジで破顔してんだかを知念に問い詰めようと思ったら、運悪いタイミングで鳴った予鈴のチャイム。

「ほれ、戻んぞー」


……結局、聞けず仕舞で知念を教室に帰してしまった。


物凄くダルい気持ちで私も教室に戻って、席に付けば嫌でも目に入るのがアレで。
いつもと同じ大人面、フルぼっこし損ねた顔が否応なしに隣に居てまた秒単位でストレスが加算されてく。
これが破顔?どんな風に崩れてくんだ?なんて思いながら横目で眺めてれば、その視線に気付かないわけでもなく木手が振り返る。

「君が俺を見るなんて珍しいですね」
「……はあ」
「人の顔見て溜め息とは…失礼ですよ志月さん」

どー見てもいつもと同じ顔。妙にイラッとする冷静極まりない顔。

「木手さ、不意に破顔するってホント?」
「……何です?藪から棒に」
「私、アンタの顔歪む瞬間見たいわ」
「……それを言うなら、君と平古場くんの関係を俺は知りたいですね」

え?「それを言うなら」の使い方間違ってない?

「いつ、どんな時に歪むわけ?」
「いつ、何処で知り合われたんですか?」
「……アンタ、私の話聞いてる?」
「君が答えてくれたらこちらも教えましょう」

……ダメだ。このままだと寸分違わぬ距離での平行線辿るわ。

結局、木手から情報を得るのは諦めて会話を強制的に終了させて、とりあえず平古場あたりに協力を要請して。
折角だから知念とか甲斐とか…その辺のテニス部員にも協力要請してみようか。奴らもわざわざぶっ飛ばされたくないだろうし。
にしても、随分平古場に拘ってるみたいだけど何なんだ?アレは単なる下僕みたいなもんなのに。結構昔から。
ま、その辺については話すつもりはないからやっぱり皆に協力してもらうとしようかな。

うん、壊れた木手の顔…嫌がらせに張り出す計画を立てましょう。



御題配布元 taskmaster
選択式311〜410より 「大人面」

2009.08.06. 「悪魔の作り方」より後に書きましたが…04です。


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