国体に選ばれました






『あぁ!沢北くんだ!』
「え?...びっ、美人だ...!」


開会式前、ボーッと立っていたら自分を呼ぶ声が聞こえて振り向いた。目をキラキラ輝かせながら自分を見つめているこの美人は一体誰なんだ?!沢北は瞬時に自分のファンだと確信しゆっくりと近づいた。

「はじめまして沢北です」
『わぁ〜すごい!ねぇ仙道くん!久々の再会?』


スッと差し出した自分の手に見向きもせず目の前の美人は隣の男をバシバシ叩いた。


「おぉ、北沢...じゃなくて沢北だ」
「...どあほう」


いつか対戦した覚えのある仙道と呼ばれる男とこの間負けた相手のエース流川も隣に現れ沢北はガックリ肩を落とした。

(なんだよ俺のファンじゃないのか)

「久しぶりだなぁ」

ずっと握り返してもらえなかったその手はなぜか仙道によって繋がれて、久しぶりの再会を握手で迎える形になった。なんだよ俺は美人と握手したかったのに。

「沢北が美人に声かけられたピョン」
「あぁ見覚えのある、神奈川のマネージャー」
「翔陽ですよ河田さん」
「あぁ〜ガラ悪い奴に肘鉄食らわされたとこの」


その言葉に遠くにいた南はピクッと反応した。


『意外と背が高くてびっくりした』
「えっ?!」
『もっと小さいかと思ってた〜』


大きいね、かっこいいね!
そんな風に微笑みかけられ、そして鼻をかすめるいい匂い。女の子の匂い...。クラクラと目が回りそうな感覚に陥る沢北。いいなぁ女子マネがいるところは...


「バカタレ!かっこいいなんて誰にでも言うな」
『もういっつも藤真さんうるさいんだから』
「あのなぁ?!危機感を持てよ本当に!」


突如現れた美形男子に沢北は驚いた。なんだ?神奈川は綺麗な人が多いのか?よく見たら仙道も流川も皆んな顔が整ってるぞ?顔面のレベルがうちとは全然...


「何考えてるピョン、バレバレピョン」
「イタッ?!」


何を考えてるかなんてお見通しの深津にドカッと殴られた沢北。河田も相当イラついている。


「見た目なんぞ関係ない、バスケで勝負だ」


そんなこと言ってうちは湘北に負けましたからね?河田さん。見た目も実力も劣るなんて本当に寂しいですよ俺は。



「さて行くぞ、失礼した」
『沢北くんまたねー!』



また?またがあるのか?!
諸星同様にやける沢北にぬっと現れた男たちが口を揃えた。


「勘違いするなよ!」
「山王やらなんやら知らへんけどなぁ?」
「なっ、なんなんだよ?!」

「絡まれてるピョン、すぐ泣くピョン」






















少し羨ましいと思っただけだろぉ?!

(なんなんだよもうっ...)
(また泣いてるピョン)








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