19
そしてあっという間に時刻は夜となる
『………はぁ…』
「……」
重いため息をついているアイリとそれを冷や汗を流しながら聞いているリクオの他に、校舎の裏手には全員で7人もの人間が集まっていた
「よし…そろったね。メンバーは7人か…」
「楽しみですね、清継くん!」
どこがだよ、と言葉には出さずに毒づくアイリ
こんなところで、人間の耳に入るような"悪行"しかできないようなヤツは雑魚に決まってるっていうのに…なんでわざわざこの私が……
「…ん?カナちゃん!?」
ふいに隣にいたリクオが驚いたような声をあげる
「…なんで!?怖いの苦手なんじゃ…」
「う、うるさいな〜いいでしょ!?」
家長カナ……怖いなら来なければいいのに
というか、気のせいだろうか…彼女の周りに、本当に薄くだが妖気が臭うような……
今すぐ害になるようなものではないが、つかず離れず彼女を取り巻いている気がする
『……経過観察、か』
取りあえず見守り、ソレが牙をむいた時に片をつければいいだろう
――今の自分にそれができるだけの力があればいいのだが……
「ん…………やぁ、ありがとう来てくれて。失礼だが…名前は?」
清継が名前を聞いたのは小柄な女子と大柄な男子生徒だ
「及川氷麗(おいかわつらら)です!こーいうの…超好きなの!」
「…俺も好きなんだ。倉田だ」
………、あの2人って…
『…なぁリクオ、あの2人…』
「あぁ、もの好きな人もいたもんだよね…」
このドンカン…まさか本当に気づいていないのだろうか?
氷麗と名乗った女子と倉田という男子……あれは奴良組の妖怪だろーが……
目が合い、思いっきり嬉しそうに手を振ってきたつららに乾いた笑みを浮かべるアイリなのであった
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