04
「藍羽ちゃんの言うとおりだよ、私目が見えないの」
『やっぱりそうだったんだーごめんね、不快な思いさせて』
「うぅん、大丈夫」
『私にできることがあったらどんどん言ってねぇ?あなたも…えっと、』
「砂小坂純(すなこざかあづ)。さっきはごめん、キツイこと言っちゃって…」
名前が分からず言い淀むと、あっちゃん…もとい純がバツが悪そうに自己紹介をした
『いいよ、私も初対面で聞くようなことじゃなかったこと聞いちゃったわけだしー?これからよろしくね、私のことは藍羽でいいからー』
「私も純でいいわ。宜しくね、藍羽」
改めて挨拶を交わす
純は少しキツいところがあるが、それを上手く千莉がカバーできているから大丈夫だろう
担任の話はずっと続いており、今は2週間後にあるらしい学習旅行について説明していた
特に興味はなかったがそれなりに聞きながら、チラリと大助のいるあたりを見てみた
藍羽が廊下側の後ろのほうなのに対し、大助は反対の窓側の後ろのほうだ
「あらー緒里のヤツ…」
藍羽の目線の先を辿り、純は呆れたようにため息をついた
『緒里?』
「ほら、あそこで薬屋くんにガン飛ばしてるヤツ。圓藤緒里(えんどういおり)」
見れば大助の後ろで決してにこやかな顔ではない表情で彼を見ている男子生徒がいた
顔だちはまぁまぁ整っているが、少し怖いイメージが先行してあまりそう思われないだろう、という損な容姿をした少年だった
「緒里くんがどうかしたの?あっちゃん」
「いや、何でもないよ。薬屋くんの後ろの席が緒里になっただけよ」
『2人とも圓藤くんと仲いいのー?』
少し系統が違うような気がし、不思議に思って聞いてみる
「緒里と私は幼馴染ってやつで、千莉のこと何かと気遣ってくれるの。あとは違うクラスにいる有夏月くんもね。たいてい4人で行動してるかなー」
『有夏月、くんって珍しい名前だねー』
「そうかもね。でも有夏月くんも緒里くんも色々私のこと気にかけてくれて、すっごく優しいの」
しかし、その"優しい"緒里が担任がいなくなった途端に大助の手を無理やりつかみ教室から連れ出そうとしているのはどうなのか?
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