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『―――…、ここは…』
ゆっくりと瞳を開ければ、視界に広がったのは真っ白な天井
一瞬自分がどこにいるのかが理解できず、寝ていた体を起こそうとしたが……その瞬間にはしった激痛に、再びベットに沈むことになる
ジリジリと蝕むような痛みの中、ようやく自分の状況が理解できた
"レッドフレイム"とのパーツ・ウォウの最中、パンサーの男に後ろから思いっきり金属棒で二の腕をヤられたのだった…ここは、間違いなく病室だろう
勝つことはできたが、亜紀人の体に怪我を負わせてしまったという事実に唇を噛みしめる
自分がもっと周囲に気をくばり、パンサーの男の攻撃に気づいていれば、こんなことにはならなかった……
<大丈夫?アオイ>
『…ごめん、怪我して…』
日常生活でこの体を使うのは当然亜紀人で、この怪我のせいで彼に多大な迷惑をかけてしまうことを申し訳なく感じ、謝罪の言葉が飛び出す
もっと、オレが強ければ―――この体に怪我を負わすこともなかったのだ
<もう…僕は"アオイ"を心配してるんだよ?それに僕とアオイは一心同体なんだもん、こんな怪我くらい何てことないよ!>
少しだけ怒ったような、困ったような……複雑な亜紀人の言葉
その真意を問おうと口を開いた時、突然病室の扉が勢いよく開かれた
――バンッ
『、っ!』
思わずビクリと肩を震わし、反射的にドアに視線を向ける
「………何だ、もう目が覚めてたんか」
『、海人…』
ドアが開かれた勢いとは嘘のように、いつもと全く変わらない海人の姿が、そこにはあった
さすがに病院だということを考慮したのか、火のついていない煙草をくわえている海人はツカツカとベットに近づき、ベットの端に腰を下ろす
ギシリ、ときしむ音が小さく響く
「あのウンコクズ共は全員逮捕してやった。前科持ちだから今度は年少送りは免れねェだろうな」
『……』
「お前は腕を複雑骨折、頭は軽い脳震盪をおこしていたが、医者が言うには何カ月か大人しくしておけばいいらしい」
つらつらと事実を述べていく海人は、決してこちらを見ようとはしない
何とも言えない空気が流れるなか、何を言えばいいのか分からずオレは黙りこむしかなく、沈黙が続く
そんな中、ナカにいる亜紀人がクスリと笑った
。
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