A
『……ちょーっと言ってみただけだもん』
アオイは鵺から顔を背ける
『別に淋しいだなんて思ってないんだから』
「………」
アオイは鵺より年上なのに、こういうところは鵺よりも幼い
一人や暇が嫌だなんて子供そのものの感情だ
「……アオイ」
『何よ。忙しい鵺なんかどっかいっちゃえ』
こうなったアオイが頑固なのを知っている鵺はため息をつく
「タクヤがお前に会いたいってさ」
『…タクヤが!?』
「お前のお陰で怪我一つねぇぞ。……おら。いつまでそこにいるつもりだ。入ってこい」
後半は病室の外にいるタクヤに言いながらその手を引っ張りこむ
「……アオイお姉ちゃん…」
入ってきたのは、まだ幼い少年
A.Tを履いていることからライダーであることが分かる
タクヤは小さくともチーム・ブラック・クロウの一員だ
『タクヤ…よかった。怪我はなかったんだ』
ホッと息を吐いておいで、と手を広げる
「………ッ」
それを見て泣きべそをかきながらアオイに飛び込んでいったタクヤ
「ごめんなさい…ごめんなさ……ッ」
よしよし、と頭を撫でるアオイの顔は先程まで駄々をこねていた人物とはまるで違う。
…姉の顔だ
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